2025年12月6日(土)

経済の常識 VS 政策の非常識

2025年9月11日

EUとアメリカの場合

 EUの農業保護率は、図2のように1980年代の38%から2023年の17%へ半分以下に低下している。特に顕著なのは、棒グラフから分かるように生産者支援推計に対して市場価格支持推計額が縮小していることである。したがって、国際価格との乖離率も2020年代は3%程度となっている。

 アメリカは図3に示されるように、農業保護率が3地域、国の中で最も低い。1980年代、2000年代初頭で20%程度、2020年代では10%を下回る水準となっている。また、棒グラフから分かるように、市場価格支持推計額も大きく低下している。国際価格との乖離率は、1980年代、2000年代初頭は5%程度であったが、2020年代では1%以下となっている。

保護率が高いのに生産額が上がらない日本

 概観すると、日本の農業保護率が31%であるのに対し、米国は7%であり、日本の農業保護はかなり手厚い。保護の方法では、米国は1980年代から主として直接所得移転方式を採用していた。

 EUは1980年代後半では市場価格支持推計額が生産者支援推計の約85%を占めていたが、2023年時点では直接所得移転が4分の3を占めており、逆転している。日本は、農業保護に占める市場価格支持推計額の比率が依然として7割近くあり、市場価格支持策が農業保護の中心となっている。


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