広告にはこう記されていた。「上海市中山公園商業圏でビル一棟売却」。同ビルは1フロアあたり4戸あり、30階で合計120戸。合計4億9000万元(約83億3000万円)という破格の額だった。販売元は香港にある組織傘下の機構で、5億8800万元でこのビル売却を図っていたが、1カ月内で売却した。
上海市の不動産価格は全体的に低迷しているのに昨年7月には豪邸の売り出しが激増した。市場で平米当たり単価5万元以上の不動産占有率が、1週間前より2.6ポイント上がり、7.6%を占めた。7月15日から21日の間に5万元超の高級物件取引数は54戸で、前の週より19戸増えた。
財産公開が不動産売却を促す?
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売り手はなぜ先をこぞって不動産売却しようとしているのか。林女史によると、報道されている不動産税の導入や高級官僚の財産公開(一部地域で試験的に導入、現在導入が検討されているという:筆者)と関係があるという。こうしたニュースが出るたびにクライアントが増えるというわけだ。
各地で次々に出される関連政策から見ると、高級官僚の財産公開のプロセスは着実に進んでいる。新疆ウイグル自治区、安徽省、浙江省、江蘇省、広東省等で高級官僚による自主的な※財産公開制度の試験ポイントとなっている。
※官僚が自主的に財産を公開するとされるが、強制力なくして同制度の実効性を確保できるとは思えない:筆者
昨年、中国共産党「18期3中全会」が閉幕して半月経った11月29日。党中央規律委員会・監察部(党幹部の汚職取締り機関。共産党政治局常務委員の王岐山が率いる:筆者)のサイトが「3中全会」による「決定(改革)文書についての解説文を掲載した。その中で新たに選抜する幹部の個人財産の公開を導入すべく試験ポイントを設けることが提起された。
最近一部の地域で公表された規定の細則には(高級官僚の:筆者)配偶者や子女の財産も公表が求められている。陝西省が通達した新任幹部選抜についての「意見」書でも、「本人の婚姻関係、プライベートの出入国証、海外渡航状況」、「配偶者、子弟の海外移住状況、就業状況」報告が求められている。「申請者本人及び配偶者、共同生活する子女が保有する財産」も記入しなければならない。