2024年6月15日(土)

中国メディアは何を報じているか

2014年6月24日

 不動産を所有する高級幹部やその家族たちはこの間、恐怖心を抱くようになっており、一刻も早く財産を処分し、保身を図ろうとしているようだ。最近、発表された国務院の作業プロセスでは、統一的な不動産登記制度実施が既に検討段階に入っており、国土資源部(土地資源管理を行う省庁:筆者)では不動産登記局が正式に看板を掲げ成立した。

 党中央規律委員会は昨年11月から今年1月にかけて高級官僚が投げ売りした高級マンションの数を公表した。広東省広州市(4880戸)と上海市(4755戸)でその数が突出しており、少ないところで福建省福州市(1240戸)や山東省済南市(1210戸)だという。また、戸建タイプの高級住宅では浙江省杭州市が412戸で最多だった。

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【解説】

 最近、中国南の島でリゾート地でもある海南省でも上記のような高級不動産の「投げ売り現象」が現れているという。海南省の不動産はリゾート開発でコンドミニアムとしての高級物件が増加し、別の地域からの投資が急増してきた。ここのところの高級物件の投げ売りは正にこうした物件に限られ、一般市民が住むようなマンションとは状況が異なっている。また、北京市では石炭で儲けた山西省の業者が高級不動産をこぞって売却しているという報道もある。

 つまり、中国の不動産市場は大きく分けると高官や成金たちが療養や娯楽、愛人、投資のために購入もしくは贈答された高級物件と、市民が居住するための一般物件の2種類があり、今回紹介した高官たちが「投げ売り」しているのは前者に当たる。

 もしそうなら高級物件価格がいくら下がっても一般市民が購入できる可能性は低く、そのような高級物件が市場に出回っても、市民の住宅需要を満たすとは考え難い。もちろん不動産税や不動産登記制度、財産公開制度の導入が高級不動産市場を縮小させ、より廉価な中級、低価格な不動産市場を刺激する可能性は否定できない。

 そう考えるとこうした高級不動産の「投げ売り」が中国の不動産市場全体にバブル崩壊をもたらすとは必ずしも断定できないだろう。とはいえこの十年で平米当たりの住宅価格が数千元から5、6倍の価格にまで高騰したのは異常である。

 「不動産登記条例」そして高官の財産公開制度導入によって過度な高級住宅建築が抑制されて住宅価格が適正価格に落ち着くようになれば多くの市民がマイホームを持てる可能性が出てくる。一連の不動産政策を導入することは中国の社会を成熟した市民社会にソフトランディングさせるためにも必要な措置なのだ。

 習近平政権の汚職取締りは多くの民衆の支持を得ているが、それが一過性の単なるポーズでなく、中国の政治制度全般の透明度を高めるために財産公開制度を導入し、その実施を徹底させることが習近平政権に後戻りのできない待ったなしの課題として突きつけられていることは疑いの余地がない。習政権における更なる汚職取り締まりや政治改革の如何は今後の「不動産登記条例」施行や財産公開制度導入のあり方が一つのバロメーターになるだろう。

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