スリランカで洪水のなか、即席のいかだで進む人たち(29日、コロンボ)
スリランカで大雨によって壊滅的な洪水と土砂崩れが発生し、11月30日までに死者が330人を超え、行方不明者も200人以上に上っている。当局が発表した。同国にとって、近年で最も被害が大きい気象災害の一つとなっている。
スリランカでは、サイクロン(熱帯低気圧)「ディトワ」が28日に東海岸をかすめた後、離れていった。同国は現在モンスーン期だが、このレベルの異常気象に見舞われることはまれ。
スリランカの災害管理センターによると、住宅約2万戸が破壊された。国が設置した一時避難所に、住民約10万8千人が移動している。
国内の約3割で、電力や水道が停止しているという。
大規模な被害発生を受け、同国では非常事態宣言が出された。
アヌラ・クマラ・ディサナヤカ大統領は、同国史上「最も困難な自然災害」だと説明。被害があまりに甚大で、復興には途方もない費用がかかる見通しだと述べた。
ケラニ川で水位の急上昇が続いており、一部地域では避難指示が出されている。
スリランカ中部の女性は、住んでいる地域で住宅約15棟が大きな石や泥に埋もれ、そうした家の住民は全員死亡したとBBCに話した。
死者が最も多いとされるのは、キャンディとバドゥッラの両県。いずれも、県内の多くの地域が孤立状態のままだという。
バドゥッラ県マスパナ村のサマン・クマラさんは、「村で2人が亡くなった。(中略)他の人々は、寺やまだ残っている家に避難している」と、ウェブサイト「ニュースセンター」の電話取材で話した。
「村を出られないし、土砂崩れで全ての道路が遮断されているから、誰も入って来ることもできない。食べ物がないし、きれいな水もなくなりかけている」
警察によると、中北部クルネーガラ県では29日午後、高齢者のケアホームが浸水し、入居者11人が死亡した。
スリランカ政府は、国際支援を要請するとともに、国外在住のスリランカ人に対し、被災地支援のための寄付を呼びかけている。
スリランカにとって今世紀最悪の洪水は、2003年6月に発生した。当時は254人が死亡し、数十万人が避難を余儀なくされた。
このところ東南アジアでも、ここ何年かで最悪の洪水が発生している。インドネシア、マレーシア、タイでは、合わせて何百万人もが影響を受けている。
(英語記事 Sri Lanka declares state of emergency after floods and mudslides)
