2024年5月14日(火)

解体 ロシア外交

2014年6月26日

 プーチンが一番評価したのは、ポロシェンコが親欧米路線をとり、EU加盟には熱心であるが、NATO加盟には慎重であることだと言われている。なお、ティモシェンコはEUにもNATOにも熱心に早期加盟をしようとしている。また、プーチンがポロシェンコと既知だったことも大きそうだ。

国内、対EU、対露
ポロシェンコの最初の課題

 大統領となったポロシェンコの立場は以下の3つである。

 第一に、戦いを終わらせ国に平和をもたらすのが最初の課題だ。「東部ではロシア語を第2公用語として残す」こと、「反逆した人たちの罪は問わない・捕まえない」と確約し、東部に早急に訪問して対話すると述べた。だが、前述のように就任直後、東部に対して攻撃を強化し、東部の混乱をより強めてしまったという経緯がある。本件については後述するが、ウクライナという国家の存亡にもかかわる問題であるにもかかわらず、解決は困難を極めそうだ。

 第二に、親欧米路線を貫き、EUとの連合協定には早期に調印するというものだ。実際、5月20日、ポロシェンコは27日に連合協定に調印すると発表している。それが実現すれば、ウクライナがヨーロッパとの関係を強化する第一歩となるが、ただ、EU側の事情もあり、EU加盟の道は険しそうだ。EUの一部首脳が、今回のウクライナの混乱は、EUがウクライナに東西選択を迫ったことが原因だとして反省していることもあり、ウクライナをEUに加盟させず、フィンランドのように中立化させたほうが良いという意見は実はかなり強い。さらに、近年のEU側の事情、つまり経済難やEU内での右派の台頭なども、EU拡大の阻害要因となっていくだろう。

 他方、ポロシェンコは、ウクライナ東部・南部の石油・ガス利権を、米・バイデン副大統領次男が取締役をしている「ブリスマ」に与えることを確約し、バイデン副大統領を懐柔したとも報じられており、親欧米路線は着実に実現されている。

 第三に、ロシアによるクリミア編入は断固認めないが、ロシアと対話をしていくというものだ。だが、今後、すべての対ロ関係においてクリミア問題が影を落とすことは間違いない。現在、ウクライナは北方領土問題を抱える日本の対ロ外交とかなり近い状況に置かれていると言ってよい。後述のガス問題しかり、今後も対ロ外交は極めて難しいものとなろう。

ポロシェンコ初外交とプーチンの存在感

 ポロシェンコは大統領に当選するや、6月7日の就任前から積極的な外交を繰り広げている。


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