4日には、米・オバマ大統領が訪問中だったポーランドのワルシャワで初会合を行い、オバマから強い支持を取り付けた。
続いて、4、5日には、ベルギー・ブリュッセルで主要7カ国(G7)首脳会議が開催された。そもそも同会議は、ロシア・ソチでのG8の開催が予定されていたが、ロシアがクリミアを編入した際の制裁によって、G8から締め出されたことで、必然的に今回の開催地も変えなければならなかったという経緯がある。同会議では、ウクライナ危機を受け、ロシアの脅威にどう対処するかが最大のテーマとなり、ポロシェンコ大統領を歓迎すること、ウクライナおよびウクライナの隣国である東欧諸国を支援すること、ロシアとウクライナの対話を促す一方、ロシアに対する制裁拡大の用意があることなどで一致した。
そして、これに続き欧米首脳はフランスに移動した。6日にフランスでノルマンディー上陸作戦70周年記念式典が行われたからだ。この式典には、プーチン大統領もポロシェンコ大統領も参加し、プーチンは存在感を示す一方、ポロシェンコは欧米の大統領たちとの対面を果たすことができた。
そもそも、拙稿でも述べてきたように、ロシアと関係の深い欧州諸国は対ロ強硬策に慎重であり、G7サミットが終わるや、欧州の首脳陣は一斉にプーチンのご機嫌取りをはじめたかに見えた。そのような中でも、オバマはプーチンに対して強硬姿勢を貫いていたため、6月5日の夕食会をフランソワ・オランド仏大統領は2回こなすこととなった。オバマ大統領との夕食会、そのあとのプーチン大統領との晩餐会である。
こうして、両大統領をとりなし、プーチンは6日にオバマのみならず、当初、面会を拒否していたポロシェンコとも短時間ながら直接対談し、ウクライナ情勢について話し合いをするに至ったのである。加えて、プーチンは5日にキャメロン英首相、6日もメルケル独首相と約1時間会談するなど、その存在の大きさが改めて示された。
ロシアとのガス交渉決裂 供給停止も
このように、早期にプーチンとの対面もかない、対ロ関係に明るい兆しが見えたかに思えたが、懸案となっていたロシアとのガス交渉は決裂し、現在、ロシアはウクライナ向けのガス供給を停止している。
そもそも、ロシアは5月2日、5月末までにウクライナがガスの代金を前払いで支払わなければ、ガス供給の減量ないし停止の可能性を示唆していた。実は、2013年11月から今年5月末までのウクライナ国営ガス会社「ナフトガス」によるガス代金未払い額は52.44億ドルに膨れ上がっていたのだ。5月26日のウクライナ、ロシア、欧州委員会の3者協議では、欧州委員会が調停案としてウクライナが5月30日までに22.37億ドル、6月7日までにさらに5億ドル支払うことを提案し、ロシアはこれを受け入れて、最初の支払いがきちんとなされれば、今後の交渉可能性が開ける可能性があるとした。