シェフ曰く、コシヒカリは、粒自体に粘りがあり、炒めるときにバターなどでとろみをつける必要もない。「コメの粘りと特有の味がリゾットの味わいを引き立てる」とのことでした。
ならば、日本のコシヒカリはリゾットにも使えるコメとして世界市場に輸出できるのでしょうか。問題は、リゾットで使うには粒が小さすぎることです。イタリアのリゾット専用米の粒は大きく、柔らかく煮込んで表面にとろみを出しても、粒はしっかりしていて、歯ごたえを感じられます。
しかし、コシヒカリなど日本の短粒種の大きさでは、表面にとろみを出すと、粒が崩れてしまいます。そのため、日本の生産者が世界のリゾット市場を狙うなら、酒米ぐらい大粒のコシヒカリをリゾット専用米として開発してもいいでしょう。
今、日本で生産しているコメに合う世界のコメ料理は何か。さらには、ターゲットにした世界のコメ料理に最適なコメを日本で生産するにはどうすればいいのか。こうした視点が、「守り」ではない「攻め」の農業、新しい市場開拓につながります。次回以降も世界のコメ料理と、世界のコメの特徴について見ていきます。
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