2025年12月9日(火)

BBC News

2025年12月9日

パレスチナ・ガザ地区では、死亡したイスラエル人の人質の最後の1人の遺体捜索がハマスによって進められており、赤十字のチームが支援している

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は7日、パレスチナ・ガザ地区での戦争終結を目的にアメリカが仲介してきた計画をめぐり、第2段階は間近だと述べた。ただ、重要な問題は解決されていないとした。

ガザでは停戦合意が発効して2カ月が経過した。だが、イスラエルとイスラム組織ハマスは連日のように、相手が違反したと非難し合っている。イスラエル軍はガザ地区の半分以上を支配し続けており、ハマスは残る地域でおおかた地位を再確立している。

ドナルド・トランプ米大統領の計画の第2段階では、イスラエルがガザから軍をさらに撤退させる。また、暫定当局が設立され、国際治安部隊が派遣される。ハマスは武装解除され、復興が始まる。

ハマスの武装解除が疑問視されるなか、幹部の一人は、ハマスが残る武器の「凍結または保管」を検討する用意があると示唆した。

アメリカと他の仲介役はイスラエルとハマスの双方に対し、トランプ氏の計画の次の段階に進むよう圧力をかけている。

ネタニヤフ氏は7日、エルサレムでドイツのフリードリヒ・メルツ首相と会談。終了後の記者会見で、和平計画の第2段階を確実にする方法について、月末にトランプ氏と重要な協議をすると述べた。この会談については、イスラエル政府の報道官が8日、今月29日に予定されていると発表した。

ネタニヤフ氏は記者会見でさらに、ハマスによるガザ支配を終わらせる必要を強調。武器を放棄してガザを非武装化するという「約束」を、ハマスは実行しなくてはならないと述べた。

ネタニヤフ氏はその後、イスラエルの大使や外交官らの会合で演説し、計画されている国際治安部隊について、ハマスを武装解除できるかは疑わしいとの見方を示した。

ネタニヤフ氏は、「そこが問題だ。アメリカの友人たちは、国際部隊を設立し、仕事をさせようとしている。でも、考えてほしい。自ら進んでやりたがる人などいるのか? その逆だ」と発言。ハマスの武装解除を武力で進める気構えが外国部隊にあるのか、疑っている様子だった。

同氏はまた、「この部隊にできる仕事はあるだろう。細かいことは言わないが、何でもできるわけではない。もしかするとメインの仕事もできないかもしれない。だが、まあ見てみよう」と述べた。

さらに、イスラエルは武装解除を確実に実行させると強調。「簡単な方法でもできるし、難しい方法でもできる。だが、どのみち実施される」とした。

ハマスは武器の「凍結・保管」もあると

一方、ハマス幹部のバセム・ナイム氏は、ハマスが武器を「凍結または保管」させることについて協議する用意があると、AP通信に話した。

ハマス指導層の多くが拠点を置くカタールでインタビューに応じたナイム氏は、「これ以上の事態悪化を避けるため、あるいはこれ以上の衝突や爆発を避けるために、私たちは包括的なアプローチにも前向きだ」と述べた。

ハマスはこれまで、独立したパレスチナ国家の創設なしに武器を手放すことを拒んできた。

ナイム氏は、イスラエルが停戦合意の重要な約束を履行していないと主張。ガザに支援物資が大量に運び込まれる状況になっておらず、エジプトとの境界にあるラファ検問所も再開されていないと述べた。

いくつかの人道支援機関によると、ガザに搬入される物資は劇的に増加している。だが、それらの機関の活動はなお、イスラエルによる制限や、治安の悪化に直面しているという。

イスラエルは先週、ガザと世界の間の主要な出入り口となっているラファ検問所について、ガザから出る移動に限って再開する用意があるとした。エジプトとパレスチナ側はこれを受け入れず、イスラエルには双方向とも再開させる義務があると主張している。

最後の人質遺体を捜索

停戦合意によって、ガザで2年にわたってイスラエルが続けてきた破壊的な攻撃が停止している。この攻撃は、ハマスがイスラエル南部を襲撃し、多数を殺害し、大勢を人質にしたことへの報復として始まった。

現在の和平計画の第1段階では、ガザに残された人質20人と、死亡した人質28人の遺体を返還することになっている。イスラエルはそれと引き換えに、拘束しているパレスチナ人約2000人を引き渡してきた。イスラエルは人質1人が返されるごとに、パレスチナ人15人の遺体を返している。

イスラエルは、死亡した人質の返還をハマスが遅らせていると非難している。

アラブ地域のメディアによると、死亡したイスラエル人の人質で遺体が未返還の最後の一人となっている警察官ラン・グヴィリ氏について、赤十字のチームとハマスの武装組織のメンバーらが、ガザ市ゼイトゥン地区で捜索を再開しているという。

グヴィリ氏は、ハマス主導の2023年10月7日のイスラエル南部襲撃で殺害された。遺体は、イスラエルとハマスの最初の停戦合意の条件に基づき、返還されることになっている。ネタニヤフ氏は7日の記者会見で、「私たちは彼を救出する」と述べた。

ハマスが運営するガザ保健当局によると、停戦が実施されて以降、370人以上のパレスチナ人がイスラエル軍によって殺害されている。

イスラエルは自軍の攻撃について、イスラエルが掌握しているガザの土地への侵入などの、パレスチナ人による違反行為への対応だとしている。

イスラエル軍も停戦後、兵士3人が殺害されている。ガザ最南部の地下トンネルにはハマス戦闘員ら数十人が潜伏しているとされており、ハマスとの戦闘でイスラエル兵3人は死亡した。

トランプ氏は先週、ガザ和平計画の第2段階が「かなり近いうちに始まる」と述べた。6日にはカタールのシェイク・モハメド・ビン・アブドル・ラフマン・アル・サーニ首相が、「きわめて重要な時点」に達したと述べた。

(英語記事 Israel's PM says second phase of Gaza peace plan is close

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cvgk0dpg4j1o


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