英国防省によると、9日に死亡した英軍の一員は前線からは離れていたという(資料写真)
イギリス国防省は9日、イギリス軍の一員がウクライナで事故死したと発表した。新しい防衛能力の試験を視察中だったという。
国防省は声明で、「彼は前線から離れた場所で、ウクライナ軍が新しい防衛能力を試験する様子を視察していた最中に、悲劇的な事故で負傷した」と明らかにした。
遺族には通知済みで、今回の事故によるイギリス人の死傷者はほかにいないという。
キア・スターマー英首相は、「本日、命が失われた我が軍の一員のご家族に、心からの哀悼の意を表する」と述べた。
「その奉仕と犠牲は、決して忘れられたりはしない」と、首相は声明で述べた。
ジョン・ヒーリー国防相は、「ウクライナでイギリス軍の一員が死亡したことに打ちのめされている」、「愛する人を失ったご家族、友人、同僚に心を寄せる」と述べた。
死亡した人が、どの部隊に所属していたのか、役割は何だったのかは不明。敵の攻撃による事態ではないようだとの情報を、BBCは取材で得ている。
国防省は、この件についてこれ以上コメントしないとしている。
イギリス政府はこれまで、ウクライナにいるイギリス軍関係者の人数を公式に認めたことはない。ただし、ウクライナ軍の支援や外交官の安全確保のために少数が駐在していることを過去に認めている。
イギリス軍の死者が公に発表されたのは2022年2月以来初めて。
英下院国防委員会のタンマンジート・シン・デシ委員長は、「この悲劇的な事故は、たとえ前線から離れて活動していても、我が国に奉仕する者がどれだけリスクに直面しているか、はっきり知らしめる。彼らのプロ意識と献身に敬意を表する」と述べた。
最大野党・保守党のジェイムズ・カートリッジ影の国防相は、「イギリス軍の一員が今朝、ウクライナで死亡したという悲報に深く悲しんでいる」、「このつらい時に、ご家族と友人に心からの哀悼の意を表する」とコメントした。
ロシアが2022年2月にウクライナ全面侵攻を開始して以来、ウクライナでは戦闘が激化している。
戦争終結に向けた交渉はここ数週間で強化されている。8日にはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がロンドンの首相官邸を訪問し、スターマー首相が「公正で持続的な停戦」の実現のためにイギリスが引き続きウクライナを支援すると約束した。
ゼレンスキー氏は、ロシアとの和平案を仲介しているアメリカがウクライナに大幅な譲歩を迫る内容を支持しないよう働きかけており、ロンドンでの英仏独首脳との会談もその一環だった。ウクライナを支持する欧州諸国は、ウクライナの領土割譲や軍の規模縮小を迫るような案は、ロシアによる将来的な侵攻に対してウクライナを弱体化させてしまうと懸念している。ウクライナはホワイトハウスに代替案を提示する見通し。
(英語記事 Member of UK armed forces dies in accident in Ukraine)
