タイ国境へ向かう軍用車両のそばを男性がバイクで通り過ぎている(10日、カンボジア・シェムリアップ州スレイ・スナム)
タイとカンボジアの国境地帯で10日、両国間の衝突が3日目に突入した。アメリカ政府は双方に、「直ちに敵対行為を停止するよう」要求した。今回の紛争では少なくとも10人が死亡、数十万人が避難している。
マルコ・ルビオ米国務長官は、10月にドナルド・トランプ米大統領が仲介した和平協定に盛り込まれた緊張緩和措置に従う必要があると述べた。トランプ大統領も、戦闘を止めるために「電話をかける」と話している。
今回の衝突は7月に数十人が死亡した戦闘以来、最も深刻な事態の悪化となっている。両国は、空爆や砲撃の応酬を伴う戦闘の再燃について互いに非難している。
3日間の敵対行為による死者10人のうち、7人はカンボジア側で、3人はタイ側で死亡している。
タイ当局は40万人以上を避難させたと述べ、カンボジア政府は10万人が避難所に移ったと発表した。
タイ国防省は10日、軍事行動は「範囲を限定し、最後の手段として実施された」と述べ、「平和は、我々の市民の安全と安心とともに訪れなければならない。それがすべてだ」と付け加えた。
一方のカンボジアは、タイが民間施設や「文化的に神聖な場所」、係争中の国境沿いの歴史的寺院を含む標的に「攻撃的な軍事攻撃」を仕掛けたと非難した。
カンボジアは同日さらに、タイで開催されている東南アジア競技大会からの撤退を発表した。カンボジア国家オリンピック委員会は、選手の家族からの「重大な懸念と要請」を理由に挙げ、決定は「軽々しく行われたものではない」と付け加えた。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、両国に「自制し、さらなるエスカレーションを避けるよう」求め、両国の争いが「多数の民間人死傷、民間インフラの損壊、双方での避難」を引き起こしていると指摘した。
東南アジアの隣国同士の両国は、100年にわたり国境をめぐって争ってきた。7月24日にカンボジアがタイにロケット攻撃を行い、タイがその後、空爆を実施したことで事態は劇的に悪化。そこから5日間の激しい戦闘が始まり、数十人の兵士と民間人が死亡した。
両国政府はその後、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相とトランプ大統領の仲介により「即時かつ無条件の停戦」に合意。トランプ大統領は当時、敵対行為が停止するまで関税交渉を中止すると警告していた。
10月に両国が停戦協定に署名した後、トランプ大統領は国境紛争終結における歴史的成果を主張したが、緊張はくすぶり続けている。
今週の暴力は、タイ北東部の少なくとも6県とカンボジア北部および北西部の5県へと拡大している。
タイとカンボジアは、フランスによるカンボジア占領後に国境が画定されて以来、800キロに及ぶ陸上国境の領有権をめぐって100年以上争ってきた。
今週に入り、イギリス、アメリカ、日本を含む複数の国が、戦闘再燃を理由に国境地域への渡航を控えるよう警告している。
(英語記事 US tells Thailand and Cambodia to stop fighting as clashes continue)
