まず提供する会社側の「キャパシティをクリアする企業努力」。そしてお客の若者たちが「10個ください」と押し寄せた事実。これはハンバーガーが若者に人気のあるジャンクフードであるという特性が大きい。しかもハンバーガーはお店で食べるだけでなく、テイクアウトが可能だという事情も大きい。
提供する会社側と、購入するお客側のハードル。その両方がともにクリアされないと販売数量の増加は達成されないのだ。このどちらかのハードルがクリアできないと安易な値下げは失敗に終わる。
10%の値下げが必要とする販売増加量は?
ここで成功条件2「値下げによって販売数量(Q)が大幅に増加すること」の「大幅」とはどれくらいであるかをお目にかけよう。「10%値下げするとして、どれだけの販売数量増加があれば以前と同じ儲けが出せるか?」
こうした値下げのシミュレーションは管理会計を使えば可能だ。具体的な例で解説しよう。
単価1000円で2000個を販売し、営業利益を10万円出している商品がある。これを10%値下げして、単価900円で販売するとしたら、どれだけの販売数量増加を必要とするか?---3000個売らないと以前と同じ10万円の営業利益が稼げないことがわかる。
値下げ分岐点を計算してみよう
先の例を、読者の皆さんが自分のビジネスでも使えるように一般化したのが次ページの図表だ。