ユーロスターの大規模運休で大勢の新年の予定が大混乱に陥った(30日、ロンドンのセント・パンクラス駅)
英仏海峡を通るチャンネル・トンネルでの電力供給障害が原因で30日、運行が大幅に乱れていたユーロスターとル・シャトルの鉄道サービスは31日、通常運行を再開した。ただし鉄道会社は、遅延や直前のキャンセルが発生する可能性があるとして、乗客には移動開始前に運行状況を確認するよう呼びかけている。
ユーロスターとル・シャトルは30日、架線電力供給の問題と、ル・シャトルの故障車両が線路をふさいだことから、長時間にわたり全面停止となり、乗客が何時間にもわたり立ち往生する事態となった。
夜通しの修復作業を経て31日朝、海峡トンネルを通る鉄道サービスは両方向で再開された。
しかし、ユーロスターは、遅延や直前のキャンセルが発生する可能性があるとして、移動開始前に運行状況を確認するよう乗客に呼びかけた。
31日午前にはロンドンのセント・パンクラス駅発着のユーロスター列車のほとんどが予定通りに運行を開始した。
ユーロスターのウェブサイトによると、キャンセルになったのは3本のみ。セント・パンクラス駅発パリ北駅行き、同ブリュッセル南駅行き、同アムステルダム中央駅行きがそれぞれ、1本ずつキャンセルになった。
ユーロスター社は、乗客に迷惑をかけたことを謝罪し、「本日はすべてのサービスを運行する予定ですが、これまでの運休の影響で、今後も遅延や、場合によっては直前のキャンセルが発生する可能性があります。お客様にはユーロスターのウェブサイトで列車の最新状況をご確認いただくようお願いします」と述べた。
ユーロスターは、31日にロンドン発パリ行きの臨時便を1本増便すると明らかにした。さらに、30日からの運休の影響を受けた乗客には「補償を強化」するとして、チケットの全額返金やチケット価格の150%分の電子バウチャーを提供する方針を示した。
英南東部フォークストン発のル・シャトルは、31日朝に遅延した後は、通常通り運行している。しかし、仏北西部カレーでは依然として1時間の遅延が続いている。ただし、6時間の遅延と言われた状態からは改善した。ル・シャトルは、自分の車に乗ったまま英仏海峡を渡れる鉄道サービス。
英仏海峡を通るチャンネル・トンネルを運営するゲットリンク社は、電力トラブル修復のため、作業を夜通し続けたと述べた。架線電力供給トラブルのほか、故障したル・シャトル列車が線路をふさいだことから、ロンドン発パリ、アムステルダム、ブリュッセル行きのユーロスター便の大半が運休し、年末の旅行を目指す多くの乗客に混乱を引き起こした。
30日には、ロンドンのセント・パンクラス駅で足止めされた大勢の旅行者の画像がソーシャルメディアにあふれた。
英フォークストン側のル・シャトルのターミナル付近では同日、トンネルに入ろうとする車両が渋滞を引き起こしたものの、その後は緩和された。
30日夜、一部の運行が再開されたが、チャンネル・トンネルの線路2本のうち片方しか使えなかったため、遅延は続いた。このため、一部の乗客は列車内で夜を過ごすことになった。
デニス・ファン・デル・スティーンさんは、ロンドンのセント・パンクラス駅を30日午後8時49分に出発したアムステルダム行きの列車に乗っていた。しかし、ユーロスターのトンネルに到達する前に列車は停止。トンネル入口で6時間待機した後、列車はロンドンに引き返した。
運休の影響を受けた中には、大みそかの予定を守るためにあらゆる工夫を駆使する人もいた。フロリアン・デュラートさんは、アムステルダムからロンドンへ移動する予定だったが、ブリュッセルで自転車を20ユーロで買った。その後、ダンケルク行きの列車に乗り、英ドーヴァーへの深夜フェリーに乗ったのだった。
(英語記事 Eurostar services return to normal after major Channel Tunnel disruption)
