2026年1月20日(火)

トランプ・パワー

2026年1月20日

 国際ジャーナリスト・大野氏が、長年交流するニューヨーク・タイムズのコラムニストに昨年12月、第2次トランプ政権の1年の振り返りと、今後の展開について聞いた。

 トランプ大統領の政策の中でもっとも致命的な影響を与えたのは米国際開発局(USAID)の弱体化と破壊的な再編であると断言したい。

2025年10月、トランプ大統領に抗議するデモの様子。数千人がNYのタイムズスクエアに集結した(PACIFIC PRESS/GETTYIMAGES)

 USAIDは米国の国際的な存在感とソフトパワーを支える中核的機関であって、発展途上国におけるワクチン供給、感染症対策、教育、保健支援、避難民支援などを担ってきた。

ニコラス・クリストフ(Nicholas Kristof)ハーバード大卒。1990年、天安門事件に関する報道で、ピューリッツアー賞を受賞。2006年、ダルフール虐殺事件の報道で同賞を受賞。著書に『絶望死』(朝日新聞出版)。

 こうした機能の弱体化により、医療支援の遅れや疾病の拡大が生じ、すでに60万人規模の死者が出ていると推計されている。トランプ政権が続く限り、この被害がさらに拡大し、犠牲者は数百万人に達する可能性もある。多くは貧困層や子どもであり、これは米国が長年築いてきたソフトパワーへの重大な打撃でもある。この問題は単なる人道的損失にとどまらない。

 USAIDが弱体化することで、世界各地で感染症が拡大しやすくなり、米国自身の安全保障にも影響が及ぶ。かつてエボラ出血熱やエイズウイルス(HIV)などの拡大を押しとどめるために米国が主導的役割を果たしてきたが、今やその能力は大きく低下し、世界的危機のリスクが増している。


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