内戦へのカウントダウン
本書では、「仁義なき移民狩り」のレポートの他にもう一つ、反ワクチン運動に集結するMAGAたちの動きも詳しく伝えている。
―― 反ワクチン派とMAGAは、どうして結びつくことができるのですか?
「個人の自由、という観念が非常に大きいんです。日本ではインフルエンザが流行すると“マスクをして”と誰もが言い合う。だけどアメリカでは、ワクチン接種も個人の自由。自分は感染症対策にワクチンを打っても他人には勧めない。コロナ禍の時も、ワクチン接種義務に反対する人が急増し、被害が拡大したけれど、その中に『コロナ死者よりワクチン死者の方が多い』との偽情報をSNSで拡散するMAGAが大勢含まれていました」
アメリカは先進国中で突出する約120万人がコロナで死亡した(日本は約14万人)。
國枝さんによれば、MAGAは陰謀論者の他に移民排斥派、キリスト教右派、反グローバル主義者、白人至上主義者、反ワクチン派などが重なって裾野が広い。連邦政府や民主党支持者、専門家、メディアへの反発が激しく、社会の断絶は深まるばかりだという。
―― ミシガン州のMAGAの男が、「内戦が待ち切れない。好き勝手に銃が撃てる」と語っていたのが、不気味ですね。
「私はMAGAとリベラルは情報源が違い、対話に必要な共通の事実を共有していないため、修復は無理だと感じています」
本書の最終章は「内戦へのカウントダウン」である。いつ、どこから始まるのか。
「いつ、どこか、は分かりませんが、崩壊へのきっかけは幾つか考えられます。①ミネソタ州でデモ隊へのICE(移民税関捜査局)の捜査官の発砲で死者が出ていますが、抗議活動が各地で過激化し軍隊が出動して流血の事態が拡大した時。②次の大統領選などで投票所が意図的に閉鎖されて大規模な衝突が起きた時。あと、誰か要人が暗殺される事件が起これば、その時も危ないですね」
