2024年12月9日(月)

うつ病蔓延時代への処方箋

2014年7月17日

 現代医療の枠外に瞑想やタッピングなどの代替医療がある。これらは薬物中心の医療とは違い、人間が本来もっている体の仕組みに対し、自らの力で働きかけ、抑うつ的な気分の改善を図るのだが、概して持続性が必要であり、効果が出やすい人とそうでない人がいる。半信半疑という感想が大半ではないだろうか。今後、第3者の研究機関などによる実証データの蓄積、効果検証がなされることを求めたい。今回は米国で生まれたタッピングについて、日本で普及促進を展開している森川綾女・日本TFT協会理事長にTFT療法について聞いた。

森川綾女(もりかわ・あやめ) 
米国ウェスタン・ミシガン大学(政治学)卒業。カリフォルニア・コースト大学大学院心理学専攻。1998年心理研究所を開業し、その間にTFT(思考場療法)と出合う。2000年よりTFTの創始者、ロジャー・キャラハン博士のもとで学び、米国TFTセンターにてトレーニング、臨床に従事。2004年、日本TFT協会設立、理事長に就任。主な著書に『ツボ打ちTFT療法』(講談社)、『たった2分で心がスッキリする「体のツボ」』(知的生きかた文庫)など。心理学博士。TFTセンター・ジャパン代表、東邦大学医学部客員講師。

治療者に依存しないセルフケア

―― TFTとは、どのような治療法なのですか。

森川:TFTとは英語の「Thought Field Therapy」の頭文字をとった名称です。日本語では「思考場療法」と翻訳しました。「TFT療法」という名称も使用しています。悪用されるケースがありましたので、この3つの名称は商標登録し厳格に管理しています。

 TFTは、東洋医学である鍼のツボを指でタッピングして、ストレスなどメンタル的な悩みを解消していく手法です。新しいセラピーと考えてください。鍼灸は広く認められている治療法ですが、鍼ではなく自分の2本の指でトントンと軽くツボをたたくだけです。心は体と繋がっているわけですから、不安、恐怖、悲しみ、罪悪感、怒り、パニックなど、広い範囲の症状を改善させることができます。自分の指でツボをたたいているだけなので、当然ですが副作用はありません。

 考え方を変えていくことではありません。仕事で受けるストレスで怒り、悲しみ、辛さなどマイナス感情が湧き起こるとき、そのままにしていれば、何度も思い出し、いやな気分を繰り返すことになります。これはストレスの蓄積です。そうなる前にタッピングすることで気持ちをやわらげてしまう。


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