今月のテーマは「経済社会」です。AI、量子コンピューター、歴史、物価から読み解きます。
進化の到達点
「シンギュラリティ」といえば、「技術的特異点」と訳され、2045年までに、AIが人間の能力を超えることだと理解していた。しかし、本書を読むと、ちょっと違う。「私たちの大脳新皮質の表面に近い部分とクラウドコンピュータを接続し、直接に私たちの思考を拡張することだろう」。まさにAIと人類の融合なのだ。これによって、私たちの脳は2045年までに数百万倍にも拡張しているという。近い将来の社会がどうなっているのか、教えてくれるのが本書だ。
革命が起きる
量子超越 量子コンピュータが世界を変える
ミチオ・カク(著)、 斉藤隆央(訳) NHK出版 2860円(税込)
物理学者であると同時に、未来学者でもあるミチオ・カク氏の最新作だ。昨今、より高性能な半導体をいかにして開発、確保するのかが注目されるが、量子コンピューターが登場すれば、コンピューターはこれまでにない能力を持つことになる。それが「量子超越」の世界だ。そして、それによって実現される社会もすごい。創薬、不老不死、核融合など、現在進められている研究が飛躍的に進むとされる。すでに熾烈な開発競争が起きている中で、日本がどうなるのかも気になる。