今月のテーマは「食」です。当たり前のようでそうではないエピソードが満載です。
ごはんとくらし
『アメリカ南部の台所から』アンダーソン夏代、アノニマ・スタジオ、1980円(税込)
ルイジアナ州ニューオーリンズで「ケイジャン料理」を食べて以降、「南部料理」といえば「ケイジャン」と思っていたら、そうではないのだという。南部に属する北フロリダに住む筆者が南部料理に限らず、米国における食材、スパイス、レストラン、調理家電などを語る、おや、まぁ、へぇが連続する一冊だ。その一つを紹介すると、日清食品の「カップヌードル」オリジナル味。これは米国と日本では少し違うのだという。今度行ったら食べてみようと思う。
「お皿の外」のこと、もっと知ろう

『スローフード宣言 食べることは生きること』アリス・ウォータース、ボブ・キャロウ、クリスティーナ・ミューラー(著)、小野寺 愛(訳)、海士の風(発行)、英治出版(発売)1980円(税込)
カリフォルニア州バークレーにある「シェ・パニース」は米国で最も予約が取れないレストランとして知られる。オーナーで著者のアリス・ウォータースは世界中にスローフードを普及させ、「おいしい革命」を引き起こした料理人だ。現代社会は「速くて安くて便利」なファストフードがあふれ、スーパーでは、季節を問わずトマトが「あるのがあたりまえ」になった。人は食べずには生きることができない。だからこそ大切にしてほしい視点、価値観を教えてくれる一冊だ。