岩手県大船渡市赤崎町で2月に発生した山林火災は1週間以上延焼が続いた。大船渡市の報道発表資料によると、焼失面積は29平方キロメートル(㎢)、建物210棟が被害を受け、1人が亡くなるなど、被害は甚大であった。火災が市街地にも接近したため、最も多い時で1896世帯4596人に避難指示が発令された。
火災原因は不明であるが、大船渡市の2月の降水量は観測史上最も少なく、2月中旬から3月初旬まで乾燥注意報の発表が続いたことから、火災が広がりやすい状況であったと考えられる。
この火災では、焼失面積の広さはもちろん、市街地に近い場所まで火災が及んだことで人々に大きな不安が広がった。図1は3月4日時点での岩手県大船渡市の山林火災の状況と市街地の地図を重ね合わせたものである。

図1.3月4日岩手県大船渡市の山林火災と市街地
出所:G空間情報センターに内閣衛星情報センターが掲載した「岩手県大船渡市の林野火災に係る被災地域に関する加工処理画像について」および国土地理院国土数値情報
出所:G空間情報センターに内閣衛星情報センターが掲載した「岩手県大船渡市の林野火災に係る被災地域に関する加工処理画像について」および国土地理院国土数値情報
図の赤い線で描かれた部分は建物と道路を表しており、その密集しているところが市街地に該当する。特に図の中央部、岩手県大船渡市赤崎町付近で、市街地のすぐ近くまで煙が迫っていることが確認できる。このように切迫した状況下で、住民の方々の不安はいかばかりであったかと察せられる。
各地で頻発する山林火災
こうした山林火災は大船渡市だけでなく、短期間に宮崎県宮崎市、岡山県岡山市、愛媛県今治市といった他の場所でも発生し、いずれも甚大な被害をもたらした。起きた場所も全国に散らばっており、山林火災が単なる局所的な問題でないことを示している。