山林火災にどう備えれば良いか
では、山林火災への対策としてはどういった方策が有効であろうか。もちろん、そもそも火災が起きないよう火の始末の徹底を呼びかける、火災が広がりにくくなるよう山林の手入れをすることなどがまず考えられる。しかし、それでも不幸な事故が重なって山林火災が発生することもあり得るため、万が一そうなったとしても被害が広がりにくくなる工夫も必要であろう。この点について、興味深い研究結果がある。
カナダのブリティッシュコロンビア大学のベイリス教授とアメリカのカリフォルニア大学サンディエゴ校のブームハウアー教授は、カリフォルニア州で山林火災対策のために導入された建築基準の効果を検証した。この建築基準では、山林火災のリスクのある地区では建築資材として難燃素材を用いることや防火空間を設けること、強化ガラスを用いることなどを定めている。こうした措置をとっていない他の州での山林火災と比較し、カリフォルニア州での建築基準による対策が、山林火災による建物焼失のリスクを16%ポイントも減らしたことを明らかにした。
こうした建築基準による山林火災への備えは日本でも有効かもしれない。すでに住宅が密集する市街地については、防火地域や準防火地域が都市計画法で定められていたり、屋根を不燃材料で作ったり木造建築の外壁を準防火性能のある構造にするよう建築基準法で定められている。山林火災の延焼の恐れのある地域に対してもこうした基準による対策の積極的な活用を進めてよいのではないか。
