2026年5月18日(月)

Wedge OPINION

2026年5月18日

〝不動産屋的発想〟の
トランプが目指すこと

──アメリカによるベネズエラ、イラン攻撃は、中国のエネルギー供給源を抑えるという意図もあった?

石井 そうした面もなくはないだろうが、それよりも、トランプ氏自身の独特のこだわりが大きい。例えば、グリーンランドの領有を主張したように、〝不動産屋的発想〟で土地や領土、資源やエネルギーを押さえるという考え方だ。実際、大統領になる前、1987年の時点で、イランの石油輸出基地であるハールク(カーグ)島を奪い取るべきだという発言もしていた。アメリカ、南米、中東という世界の主要なエネルギー源を押さえたというレガシーを欲しているようにも見える。それが結果的に中国へのカードになると考えている可能性もあるが、中国にとってはベネズエラやイランの原油は必要不可欠というほどのものではない。それ以外から調達することができる。

──11月の深圳APEC(アジア太平洋経済協力会議)、12月のマイアミG20サミット(20カ国・地域首脳会議)など、今年4回の米中首脳会談が行われる可能性がある。

石井 中国からすると、アメリカの追加関税を抑え、技術輸出規制を緩めてもらうことが大事なポイントとなる。半導体が重要だが、電子機器を設計するソフトウェア、ジェットエンジン、医薬品、バイオなど多岐にわたる。関税に関しては、アメリカは通商法301条で追加関税をかける可能性がある。しかし違憲とされた国際緊急経済権限法(IEEPA)の関税と異なり、極端に高い水準を課すことはないので、昨年10月の釜山での米中合意に反するとされることはないだろう。貿易合意は、これから段階的な交渉を行って、今年後半の首脳会談で決着すればよいというスタンスだと思う。

 もう一つの焦点は台湾問題だ。例えば、これまで、アメリカは「台湾の独立を支持しない」としてきたが、これを「反対する」と変えさせることができれば、中国にとっては大きな成果となる。先日、国民党の鄭麗文主席が北京を訪問し、同党トップとして10年ぶりに習近平氏との会談に臨んだが、トランプ氏の訪中が延期されなければ、訪中後に行われる会談となるはずだった。それが前後した結果、台湾の平和と安定を崩そうしているのは、むしろ民進党の頼清徳総統のほうだと、「ピースメーカー」を自認するトランプ氏に主張することで、その歓心を買おうとする可能性がある。


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