日本にとってのポイント
トランプ後の世界
──米中首脳会談で日本が見ておくべきポイントとは何か?
石井 台湾に対する、アメリカのスタンスが弱まっていないか注目する必要がある。台湾独立を「反対する」とか、「一つの中国」を認めるといった表現になれば、衝撃的だが、台湾問題がほとんど取り上げられない可能性もある。昨年10月に釜山で行われた米中首脳会談がそうだった。取り上げないことは関心の低さを示すことになりかねない。日本としては台湾も含めて、インド太平洋、東・南シナ海、そうした海洋における中国の横暴な振る舞いに対して釘を刺す姿勢をアメリカが示すことを促していく必要がある。
──国内的に支持率が低下し、「関税戦争」も不発。中国がトランプ氏を見限っていることはあるのか?
石井 それほど単純ではないだろう。たしかにトランプ氏は中国のレアアースなどのカードを軽視し、不用意に貿易戦争を仕掛けたことで、その力の限界を露呈することになってしまった。とはいえ技術面でアメリカがはるかに優位に立っていることに変わりはない。トランプ政権はテック界の意向もあり技術輸出規制を緩和しつつあるが、技術面での優位を崩さない方針に揺るぎはない。
アメリカの指導者の中で、中国にとって与しやすいのはむしろトランプ氏だ。政権内でも議会でも今なお対中強硬論は主流であり、ディールを重視し、中国の政治体制を問題視しないトランプ氏は異質だ。ヴァンス副大統領の対中観はまだ明らかになっていないが、少なくともそのメンターであるティール氏は中国に対して厳しい姿勢を見せている。
トランプ政権2期目になって、トランプ一族の「ファミリービジネス」と政権との癒着はますます進んでいるように見える。トランプ氏が退任すれば、そこまで露骨な一族支配はないだろうが、それでもテック右派などと政権の緊密な関係がますます強固になっていく可能性は高い。ヴァンス氏はトランプ氏以上にシリコンバレーに近く、大統領になれば、そうした関係が制度化されていくかもしれない。
トランプ氏の公私混同は属人的な要素が強かったが、その路線が継承されれば、アメリカの政権と経済の関係が構造的に変わっていくことも考えなければならないのかもしれない。

