22年のペロシ下院議長の訪台、23年の蔡英文総統の米国経由渡航、23年の賴清徳副総統のパラグアイ訪問といった出来事において、台湾はいずれも中国による「ダークウェブへのリーク」+「偽文書」というサイバー攻撃に遭遇している。
WeiboとXの役割
Weibo(微博)とXは、日中間の外交的衝突が発生した際には、注視すべき2大プラットフォームである。
Xは、国際社会が台湾海峡の情勢を観察する上で重要な情報源となる。例えば、ペロシ下院議長の台湾訪問の際、ロシアの国営メディア『RT』と中国の国営メディア『環球時報』は、ペロシ下院議員の動向をリアルタイムで追跡していた。Xは偽情報が拡散する場でもあり、真偽入り混じった情報が注目を集め合い、国際世論を形成する。
一方、中国国内向けのWeChat、Weibo、各種プラットフォームは、中国政府の公式なナラティブやプロパガンダの経路となっている。中国国営メディアはWeiboを通じて台湾の芸能人に支持表明の画像を投稿させるように圧力をかけたり、台湾の親中派団体の抗議活動を誇張して報じたりしている。
中国政府が意図的に操作する「Weiboトレンド」のランキングを通じて、中国国営メディアはWeiboプラットフォームを利用して中国国民の愛国心を動員し、中国共産党への「大内宣(国内向けプロパガンダ)」を煽っている。
日本国民は新聞やテレビへの依存傾向が強いため、これらの伝統的なメディアチャネルは、偽情報や国外アクターによる情報攻撃に対する「一種の天然の防壁」となっている。ただ、高市氏の「台湾有事発言」後の期間における情報を検証する際、日本国民の「天然の防壁」だけに頼るのではなく、Weiboを通じて中国が国内に向けて発信する「大内宣」を把握し、中国がXをどのように利用しているかを理解する必要がある。
その上で、中国が国際社会に向けて発信する「大外宣(海外向けプロパガンダ)」を把握する必要もあるのだ。中国による国民へのプロパガンダは、Weiboプラットフォームを通じて発信されるプロパガンダ・ナラティブを用いて、中国国民の反日感情を煽っている。過去には、プロパガンダで火をつけられた中国人の愛国意識が、中国国内の日本企業の運営や、中国を旅行中の日本人の身に影響を及ぼした事例が数多くある。
したがって、中国の「大内宣」は日本企業や国民に多大な影響を及ぼし得る。事件発生の際、Weiboの投稿は依然として軽視できない重要な対象である。
台湾と日本の類似点と相違点
FactLink調査チームは25年11月1日から12月6日までの期間、Xの「台湾有事発言」に関連するデマを収集した。7つのカテゴリーに分類でき、上位5つ(日本の治安悪化、経済的圧力の損失、高市氏への誹謗中傷、日本の親中世論、日米同盟への疑問)は、いずれも中国による台湾を標的としたプロパガンダ・ナラティブにも見られたものである。
6つ目のカテゴリーである「日本の歴史・領土問題」は、日本特有のテーマである。FactLink調査チームが観測したところ、中国語圏のソーシャルプラットフォーム上では、25年に投稿が2回急増した時期が確認された。
1回目は、25年6月から7月にかけての中国の反日映画『南京写真館』の宣伝期間中、2回目は、中国が第二次世界大戦における日本の敗戦80年を記念した「9月3日軍事パレード」の時期であった。いずれも日本に関連する投稿や動画が大量に投稿された。




