2026年6月24日(水)

【解剖】中国の対日情報戦略―台湾・FactLinkレポートを読む

2026年6月24日

特徴1: 偽のダークウェブからの情報拡散

 2025年11月24日、Xの中国時事アカウント「孤煙暮蟬」、虚偽情報の拡散で度々ファクトチェック機関から指摘を受けている中国アカウント「豫章信使」などが「ダークウェブで衝撃の暴露:高市早苗氏が総務大臣在任中、台湾の駐日代表である謝長廷氏から数百万相当の高額な賄賂を受け取り、台湾・日本間の政策に影響を与えた」というデマを拡散し、日本国会議員との書簡のやり取りと思われる記録や宝石の写真を添付した。 

 しかし、この噂は25年11月25日、台湾ファクトチェックセンターによってデマであると検証済みである。証拠として、高市氏と議会職員とのやり取りであると主張しているメールの日本語の表現が不適切で、誤りが多々見られたことが挙げられる。

 流出コンテンツの出所に関する調査では、先述したSNSアカウントが「ダークウェブのスクープ」と称していたものは、実際のダークウェブサイトではなく、匿名フォーラム「DarkForums」に由来するものであることが判明した。25年11月23日に新規作成された「Samurai」というアカウントが、アカウント作成と同日に捏造された日台の外交文書を投稿した。台湾のメディアやファクトチェック機関、そして謝長廷氏自身が訂正要求を行った後も、情報攻撃の波は依然として収まらなかった。

 25年12月2日には、同フォーラムの別のユーザー「tatakai」が、「Xファイル」を公開した。これには、「日本から高市氏へ輸送された宝飾品の運送状」が含まれており、高市氏が賄賂を受け取った事実を隠蔽したとして攻撃し、辞任を要求した。

 FactLinkの検証によると、当該運送伝票には発送日が記載されておらず、ヤマト運輸の正式な書類ではないことが判明した。さらに、記載された追跡番号も日本の公式物流システムにデータが存在しなかった。謝長廷氏や高市氏と何らかの関連があることを証明することは不可能で、この文書は偽造されたと考えられる。

特徴2:「Hack and Leak」手法を模倣した情報操作攻撃

 サイバー脅威インテリジェンス企業TeamT5のアナリスト、黄立安氏は、今回の「ダークウェブを経由しての文書流出を装った偽造」は、ハック+リーク(Hack-and-Leak)を模倣・利用したハイブリッドな情報操作戦略の手法であると指摘した。

 従来の「Hack and Leak」サイバーセキュリティ攻撃手法とは、悪意あるサイバー脅威アクターが政府や組織のシステムに侵入し、実際に存在する機密データを盗み出し、それを公開・流出させることで世論操作したり、特定の政治的目的を達成したりすることを指すと黄立安氏は説明している。


新着記事

»もっと見る