2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年8月19日

 南シナ海及び東シナ海に関して、ヒラリーは、伝統的なアメリカの比喩を用いている。「小国にとって、そこは開拓時代の西部みたいなもの。法の支配のない未開拓地で、そこは弱肉強食の世界である。」

 潜在的に中国が西部の無法者のように行動する可能性に関しては、次のように描かれている。「中国は、その増大する力を、勢力範囲拡大のために使うのだろうか、それとも、地域は、国際的規範を再確認して、それによって最強国でも拘束するようになるか。」

 2010年をヒラリーは、「米国が、アジアにおいて、中国の拡大に対抗するためにリーダーシップをとった」「転換点」だと言う。

 クリントンは、新しいアジアへのアプローチとして3つの選択肢を説明している。

1.中国に焦点を当てる。「論理的には、もし対中政策が上手く行けば、残りのアジア政策はもっとスムーズに行くだろう。」

2.もう1つの方法として、「力を増大させる中国への拮抗勢力として、」米国と日本、韓国、タイ及び豪州との同盟を強化する。

3.地域の様々な多国間協議を調和・促進させる。アジアでは、「EUに相当するもの」は期待できないが、多国間協議は、「すべての国家、考え方が表明される場を提供し、諸国が共通の課題で協力する機会を与え、対立を解決し、ルールや行動基準を決定し、責任ある国家には正当性と尊敬を与え、ルールを破ったものには説明責任を果たしてもらうことができるかもしれない。」

 クリントン元長官は、これら3つの選択肢を混ぜ合わせることを決意した、と述べています。

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 筆者のGraeme Dobellは、40年以上の記者歴があり、主に、豪州の国内政治及び国際政治の報道をしてきました。

 上記は、彼によるクリントン元長官の回顧録“Hard Choices”の書評第2弾です。第1弾は、6月23日付The Strategist(ASPI)‘Asia, not Atlantic, for Hillary’で、アチソン、キッシンジャー等歴代の米国務長官の回顧録と比較して、ヒラリーの回顧録は、伝統的な欧州重視ではなく、アジア重視であると述べられています。


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