ドナウ川沿いにあるブルガリアのコズロドゥイ原発と、支流のサヴァ川沿いにあるスロベニアとクロアチアの共同保有のクルシュコ原発の稼働にも影響が生じ始めているとの報道もある。
図-5がハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、スロベニア、欧州連合(EU)の電源別発電量比を示している。
影響を受けているクロアチアを含めた5カ国のEU全体の発電量に占める比率は約6%なので(図-6)、EU内の電力輸出入で補うことは可能だ。また冷房用需要が急増しているものの、EUでは冬季の電力需要のピークに合わせた発電設備があるので、EU内で電力供給の不足が懸念されることもなさそうだ。
ただし、卸電力価格はエアコンによる需要増と渇水の影響により上昇しており、電気料金への影響は懸念される。ハンガリー政府は消費者への影響を避けるため卸電力価格の上昇分を政府が負担すると発表している。
河川の水位の低下は、内陸水路の輸送にも大きな影響を与えている。鉱石、石炭・石油製品、化学品、農産物などが主要な輸送品だ。
水位の低下により積載量が減少しているため、運賃が上昇している。イラン戦争によるエネルギー価格に加え、輸送費の上昇は食品をはじめ多くの商品の値上がりを引き起こす。
影響を受けるのは火力も風力発電も
火力発電の主流である汽力発電では、燃料を燃焼させ水を水蒸気に変え蒸気タービンを回し発電する。原発との比較では水蒸気を作る方法が異なるだけで、冷却水も必要だ(図-7)。
天然ガス火力では、冷却水を必要としないガスエンジンが利用されることがあるが、小規模だ。大型のコンバインドサイクル発電(図-8)ではガスタービンに加え排熱を利用した蒸気タービンも発電に利用されるので、冷却水が必要だ。
日本では報道されていないようだが、既にセルビアのドナウ川沿いのコストラツ石炭火力の出力が低下している。
石炭火力が発電量の56%を担うポーランドのヴィスワ川沿いの石炭火力も水量が落ち込み発電量が低下している。渇水に見舞われれば、内陸部の火力発電設備は軒並み影響を受ける。
火力、原子力発電設備は大量の冷却水を利用するが、灌漑、工業用水と異なり、大半は利用された後に戻される。
熱波により河川の水温が上昇すると、発電所での冷却効率の低下に加え冷却水として使われた後河川に戻される水の水温も上昇する。




