オトナの教養 週末の一冊

2014年8月14日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

 今回も、イベリコ豚を買うと言ったら、本書にも出てくる放牧場経営者のレヒーノ親子がイベリコ豚について包み隠さず熱心に説明してくれました。

――実際に見たイベリコ豚とはどのようなものでしょう。

野地:イベリコ豚を実際に見たことがある人は日本にまだそんなにいないと思いますが、とにかく大きいんです。それとハーブとどんぐりだけ食べているので臭くない。

 近くで見るためには、広大な敷地内にわずかしかいない一群を車で追うしかないんです。その上、臆病だから近づくと逃げてしまう。放牧されている様子を収めた写真も、本書に掲載していますが、なかなか貴重です。

――ベジョータと言われる最高級のイベリコ豚の味とは。

野地:精肉よりも生ハムにしたほうが、ナッツの香りがハッキリとします。値段が高ければ高いものほど香りが強いんです。生ハムをよく見ると、白い斑点のようなアミノ酸の結晶がありますが、それがあるほど値段も高いんです。私が買ったイベリコ豚で、スモークハムを作り商品化しましたが、いかに難しいか痛感しました。生ハム作りにははかり知れない叡智が隠されています。

 子供の頃、小説『宝島』でスペイン人の船乗りが、塩漬けの豚を船に乗せている描写を読んで美味しそうだなと思っていたんです。でもずっとベーコンか、豚肉をただ塩漬けにしたものだとばかり思っていたんですが、それが生ハムだとわかったときは嬉しかった。『宝島』が、出版された頃は、翻訳者も生ハムを知らなかったかもしれません。

――もともとは保存食だった。

野地:ローマ時代から保存食でしたが、そんな塩に漬けただけのものが何年ももつのは圧倒的に気候のお陰なんです。

――スペイン人でもベジョータはなかなか食べられないもの。

野地:日常的ではなく、祝いの席で出されることが多いようです。

 ベジョータは値段も高いし、セボと呼ばれるどんぐりを食べていないイベリコ豚の生ハムのほうが美味しいと言う人もいます。それに生ハムの熟成された味が苦手で、食べられないスペイン人もいるんです。チーズを苦手な人がいるように。

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