中小企業の場合、社員食堂を作りたくても設備などのコスト面・運営面で立ち止まってしまうことも多い。しかし、1人のシェフが近所のビルの一室で料理を作り、それを運んでくるという「はてなスタイル」であれば、導入しやすいのではないかと山田さんは言う。
「視察に来る会社さんからは、どうやって運営するか以外にも費用対効果はあるの? ということも聞かれます。それでいうと、コミュニケーションが頻繁になりました。ランチ時に一緒にテーブルを囲むことで、お互いの近況を話したりするので、会社内での飲み会も減ったように思います」
同社のメインサービスのひとつは、はてなブログ。ネット上でのコミュニケーションをビジネスにしている会社だからこそ、社内のコミュニケーションにもこだわるべきだと考えているという。
「それから、細かいノウハウはたくさんありますが、最後はやる気だと思います。まずは共用の炊飯器を用意する、交代でおかずを持ち寄るなど、工夫をすれば、どんな状況でも社食をつくれないことはないはず」(山田さん)
立地的な要素や設備、コストや運営方法、役員から承認を得られるかなど、それぞれの企業が社食を作る際に直面する障害は異なる。しかし、「社食はこういうもの」と決めつけずに柔軟に工夫をすれば、できないことはないのかもしれない。
ランチ時の食事のほか、毎週金曜日の15時30分からは「スイーツタイム」。週末の「ゆるむ時間帯」だからこそ、甘いものを食べて元気を出してもらおうという意味がある。また、隔週金曜日には、ビールとおつまみで、ちょっとした社内での乾杯タイムもある。食事の時間を通して、1日単位、1週間単位、隔週で仕事のメリハリをつけているようにも感じた。
全員同じメニューを食べるから、新入社員にまず聞くのは「食べられないものがあるかどうか」。この質問を通して、新人ははてなの仲間になるのだろう。
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