2026年9月24日(木)

大膨張する日本の借金

2026年9月24日

 国債がデフォルトとはならずとも、厳しい財政危機に陥ること、その過程で国民一人ひとりの生活や人生が多大な犠牲を強いられることがあり得ることを、敗戦後の経験は物語っている。

 では今日のわが国で、この先も財政拡張路線が継続された場合、何が起こるのか。10年物金利が積算金利を超えつつある今、利払い費の増額のための補正予算を果たして策定できるのだろうか。できたとしても、その財源が赤字国債の増発では、火に油を注ぐだけだ。

 もし補正予算を策定できなければ、国債発行計画の変更、発行年限の短期化をさらに進めるよりほかにない。そうなれば来年度以降の借換債の発行額がさらに積み増され、近未来の財政リスクは増幅される。いずれかの時点で円相場はさらに急落し、日銀が追加利上げをしても、政府が為替介入をしても円安を止められなくなり、国際的な資本移動規制の発動を余儀なくされ、わが国企業のグローバルなビジネスは大打撃を受けるだろう。

 そのような事態が目前に迫れば、何とかして借換債の発行を継続できるようにし、国債のデフォルトを回避するため、財政法第5条但書に基づき、日銀の政府からの直接の国債引き受けに踏み切らざるを得なくなるのではないか。戦中戦後でもないのに、資本移動規制と日銀の国債引き受けで時間を稼ぐ間に、預金封鎖、財産税、といった国内債務調整の二の舞いとなりかねないのだ。

30兆円規模での
財政収支改善が必要

 そうした事態は、何としても回避しなければならない。そのためには何よりもまず、利払い費を含む財政収支の均衡・黒字化、言い換えれば新規国債発行をゼロにすることだ。それは「毎年度の税収の範囲内で歳出を組む」ことにほかならない。「収入の範囲内で生活する」─家計で考えれば、至極当たり前のことが、なぜいまだにできないのか。

 そのためには30兆円規模での財政収支改善が必要になる。短絡的に消費税率引き上げばかりに頼る必要はない。先述のように、わが国には相当程度の経済的な余裕がある家計や企業が一定程度存在する。

 様々な反発はあろうが、例えば、いわゆる〝1億円の壁〟の完全な解消に向けて金融所得課税を総合課税化すれば、年度当たり4兆円程度の歳入増となる。法人税率に累進性を導入すれば、中小企業の負担増はなしに、年度当たり11兆円程度の歳入増も見込める。

 課税や社会保険料負担の不公平問題も多々残存する。〝第3号保険者問題〟と言われる、サラリーマンの配偶者が年金のみならず医療保険も介護保険も現役年代時の負担を免れている問題を解決すれば、社会保障分野の制度運営は相応に改善するのではないか。東京都に一極集中する地方税である法人事業税を国税化できれば、企業側の負担増は一切なしに、兆円単位の資金を国の財政再建に充当できる。宗教法人にも地方税である固定資産税の負担を一定程度求めることができれば、その分、国の地方交付税の負担は軽くできる。こう考えれば、財政再建に向けてやれることはまだある。

 今のままでは不測の事態が現実のものとなりかねない。それは何としても回避するため、現下のわが国に求められているのは、このように本腰を入れた財政再建を進めることにほかならないといえよう。

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Wedge 2026年10月号より
大膨張する日本の借金 「国民総ゆでガエル」から脱却を
大膨張する日本の借金 「国民総ゆでガエル」から脱却を

日本の借金が大膨張を続けている。債務残高対GDP比は200%を超え、世界最悪の水準にある。こうした中で、「消費減税」が打ち出されたが、この選択の先に待ち受けているものは何か。もちろん、本当に必要な支出もあり、「借金=すべて悪」とは言い切れない面もある。しかし、あまりにも身の丈を超えすぎていないか。将来世代に過大な負担をかけないためにも、適切な給付と負担は不可避であり、それこそ民主主義の基本だ。財政再建に向けて、打開策はゼロではない。現実を直視し、今こそ、新たな一歩を踏み出さなければならない。


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