2026年10月9日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年10月9日

 他方、フォン・デア・ライエンを擁護する意見もある。「加盟国の反感を買う訳にはいかないが、より緊密な関係を望む第三国の反感を買う訳にもいかない」、「彼女にどう言えというのか? カーニーは彼女の目の前に座っており、その場は彼を支持する欧州の議員達で埋まっていたのだ」と、あるEUの当局者は述べた。

 欧州議会のリベラルな会派である「欧州刷新(Renew Europe)」の代表であり、フランスのマクロンに近いヴァレリ・アイエは、フォン・デア・ライエンが「より深くより戦略的なEU・カナダ関係」を求める自身の長年の主張を取り入れたことを「嬉しく思う」、「カナダは危険な世界で欧州を頼りにしているのであり、我々は大胆に彼等を受け入れるべきである」と語った。

 オーストリアは、カナダをEUと正式に結びつけるという構想を公に支持した。同国外相は、「価値観を共有し利害が密接に一致する諸国は、EUに加盟することなく、欧州とより緊密に連携出来るべきである」として、このパートナーシップがノルウェー、アイスランド、日本、韓国、ニュージーランドといった他の国々にとってもモデルとなり得るとの考えを示唆した。

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「準加盟」が意図すること

 フォン・デア・ライエンがカナダのEUへの「準加盟(associate membership)」に言及したことについて、上記の解説記事にもあるように、色々な批判が行われているが、いずれの批判も不可解ないし的外れではないかと思われる。

 「準加盟」という存在しないものをカナダに提供できるはずはない、という批判がある。しかし、「準加盟」の定義を定める作業を行い、新たな構造の連携のカテゴリーを創設することがフォン・デア・ライエンの意図であったとは考えられず、そのような作業が行われることはないであろう。

 すなわち、EUのノルウェーやスイスとの関係と競合するような新たな連携のカテゴリーが想定されている訳ではない。加盟候補国が面倒な加盟交渉を迂回して安易に連携を得られる新たなカテゴリーが生まれることにもならない。ドイツはウクライナに「準加盟」を提案したが大方の賛同を得られなかったというが、ウクライナは「加盟」を求めているのである。

 フォン・デア・ライエンの提案は「準加盟」に相応しい緊密な関係を築くという野心を述べたものと捉えるのが正確ではないかと思われる(カーニーも「準加盟」という名称にこだわってはいない)。その関連で、彼女は防衛産業協力、テクノロジー協力、北極圏プロジェクト、エネルギー、重要鉱物などに言及した。


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