もとより、「準加盟」に相応しい実態を築くことは容易でないであろうが、双方の努力次第である。貿易協定(CETA)が暫定適用にとどまっていることをもって困難性の象徴のようにいう向きがある。
しかし、フランス、イタリアを含む10カ国が未批准のため、EUの排他的権限の及ばない投資関連の規定などが実施されていないが、関税削減を含むモノとサービスの貿易関連規定など、大部分は実施されている。
カーニーが必要な助け
カーニーはトランプの非常識極まる圧迫に対して、カナダの置かれた不利な立場にかかわらず毅然として対応している。トランプの関税に対抗措置を講じたのは、習近平は別とすれば、カーニーだけである。しかし、カーニーは助けを必要としている。
カーニーが目指すのは対米依存を可能な限り減らすために多様化(diversification )を推進することである。なかんずく、欧州・EUを頼りにしている。代表的な例として、次の3つが挙げられる。
(1)カナダはEUの防衛産業基盤強化のための1500億ユーロの加盟国に対する融資制度(SAFE)に参加した――融資対象になる訳ではないが、カナダ企業も調達に参加する資格を得る。
(2)カナダはEUの900億ユーロの対ウクライナ融資計画に参加することを交渉中である――EUによる900億ユーロの市場からの調達コストを一部負担することの見返りに、カナダ企業もウクライナの融資資金による武器・弾薬の調達に参加する資格を得る。
(3)カナダは英国が主導する統合遠征軍(Joint Expeditionary Force )に参加を申請している――10年前に即応部隊として設立され、英国、アイスランド、オランダ、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、エストニア、ラトビア、リトアニアの10カ国から成る。カナダは既に昨年のラトビアでの演習に参加したことがある。
カーニーのいう「ミドルパワー」に出来ることには限界があろうが、可能な結束を維持・強化していくことが国際秩序を守るために必要なことと考えられる。フォン・デア・ライエンの提案を拍手喝采で迎えた欧州議会議員の反応が正しいというべきであろう。
