不動産サービス会社のジョーンズ・ラング・ラサールなどマンション売買の仲介を手掛ける会社はわざわざシンガポールや台湾、香港などに出向き、大手不動産会社の物件を紹介する商談会を相次ぎ開催している。100人以上の商談会もあるといい、「日本の不動産市場への投資熱はかなりのもの」(大手不動産会社)だという。
ただし、リーマン・ショック前のように闇雲にマネーが流入しているわけではない。リーマン・ショック前は海外の投資ファンドが電話1本で「物件を見もしないでマンションを1棟単位で丸ごと買い取っていった」(中堅の不動産業者)が、今回は様相が異なる。投資先をかなり厳選しているという。
そんな中、投資ファンドが照準を合わせるのが湾岸エリアだ。20年の夏季五輪の開催地が東京に決まり、湾岸エリアでは今、急ピッチでインフラ整備が進む。五輪招致委員会は東京圏にある33競技会場のうち28会場を選手村から半径8キロ圏内に確保、ここに3500億円以上の資金を投じることにしており、これまで課題だった道路や鉄道などのインフラも拡充される見通しだ。そうなればマンションの価値も上がることが予想され、これを見込んで投資しているのだという。
とはいえ、こうした動きもそろそろ打ち止めになりつつある。
価格の高騰だ。リーマン・ショック以降、落ち込んでいたマンション価格も昨年から上昇、とりわけ人気が集中する東京・中央、港、江東3区の湾岸マンション価格は坪(3.3平方メートル)あたり300万円にまで上昇している。ここ3年で1~2割上昇した計算だが、もともと首都圏では割高なエリアだっただけに、これ以上の高値にはついていけない状況にある。