ヴィトンの柄にシャネルのロゴがついたバッグ、玩具のようなサッカーボール型携帯、このストリート的想像力に基づいた「奇抜な」模造品は騙し目的ではなく、アフリカの人々の偶発的な消費の楽しみに即応して流通しているのだ。
中古品の価値
日本において中古品が取り上げられるときは、「リサイクル」─環境保護─や「社会貢献」─貧者の支援─がクローズアップされがちである。しかしアフリカ諸国の人々にとって日本の中古品は、中国製品との比較で価値づけられている。冷蔵庫や洗濯機など比較的長期にわたって利用する家電製品の場合、「品質」が重視されるので中古品が根強い人気だ。ただし衣類や小型電化製品などの流行にあわせて頻繁に買い替えるものは、急速に中国製品に置き換えられつつある。
また中古品は、供給元の収集方法により製造時期や性能、デザインが不揃いな製品が店頭に並ぶことになる。旧型は部品が手に入りにくいし、高度な技術が駆使された最新モデルは修理が困難だ。
明らかなことは、中古品が中国製品に完全に置き換わった後では、日本の製品の価値を改めて理解してもらうのは難しいことだ。アフリカの消費者の購買力が本格的に伸びるまでには少し時間がかかるが、それまでに日本製品の魅力を彼らの購買行動に即して伝えるために、中古品ビジネスの再興を考えるのも面白いのではないか。
■編集部より:1ページ目最終段落「8万タンザニアシリング(約13000円)」は、正しくは「8万タンザニアシリング(約5000円)」、2ページ目第二段落「9万(約14000円)」は、正しくは「9万(約5600円)」でした。お詫びして訂正致します。該当箇所は修正済みです。 (2014/09/24 13:55)
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