2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年9月19日

 実質面での協力はより大きな意味を持つ。米豪は共同の抑止攻勢サイバー戦能力を有しているし、27億ドルの国防予算(2012-13)のうち、12%は米国からの装備調達費である。

 また、常時500人以上の豪軍人が米軍で勤務しており、これが豪州に他国を凌駕する米軍に関する知識と米軍システムへの影響力をもたらしている。また、豪軍の大規模演習の多くは、米軍との共同で実施されている。

 近くシドニーで行われるAUSMIN(米豪「2+2」)では、豪ダーウィンにローテーション展開する米海兵隊を含む地位協定が締結される見込みである。将来的には、少数の米艦船が西オーストラリアを母港化するといったことも考えられる。

 こうした事例は、豪州が米軍の一極集中化を避ける配置転換を支援する一環であるが、これは米国が豪州の安全保障に目に見える形でコミットするという意味で、豪州にとっても非常に意義あることである。

 米豪関係は、豪州にとって非常に貴重なものであり、他の多くの国々はこうした米国との関係を羨んでいる、と論じています。

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 「他の多くの国々はこうした米国との関係を羨んでいる」とあるように、まさしく日本にとっても、米豪同盟の深化を知る上で参考になる論説です。

 日本と豪州で大きく異なるのが、米軍司令部に派遣される豪軍関係者の規模とその扱いです。例えば、米太平洋陸軍の副司令官のうち1人はオーストラリア陸軍の少将です。また、昨年は、豪海軍のミサイルフリゲート「シドニー」が、米海軍第7艦隊「ジョージ・ワシントン」空母打撃群の指揮下に加わり、韓国沖での合同演習に参加するなど約3カ月間行動を共にしました。

 更に、豪軍の連絡将校は米国防総省に常駐し、米軍の重要な戦略文書であるQDRの策定プロセスにも関与しています。こうした豪州のアプローチには、日本にも大いに参考とすべき点があります。


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