2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年9月19日

 8月7日付の豪オーストラリアン紙で、Greg Sheridan同紙外交担当編集員が、

 米豪同盟の緊密化を危惧する一部の論調に反論し、米国が豪州にとっていかに重要な同盟国であるかを力説しています。

 すなわち、米豪同盟に関してばかげた2つの議論がある。1つは豪国立大学のヒュー・ホワイト教授によるもので、米豪同盟は中国を不必要に刺激するばかりであり、それに見合った利益がないという議論である。もう1つはマルコム・フレーザー元豪首相(1975~83年)が主張する、冷戦後、米豪同盟はその意義を失ったという議論である。

 これらの主張は、豪州の公式な政策には影響力がなく、また国民からもほとんど支持されていないが、メディアではよく取り上げられている。しかし、こうした議論をする人は、今日の戦略環境と米国が豪州の安全保障にどれだけ貢献しているかをひどく誤解している。

 今日の安全保障環境は、冷戦期から様変わりしたものとなり、アジア太平洋地域では中国がリードする形で、多くの国々が参加する軍拡競争が生じている。豪州の近隣諸国は、豪州の経済規模を追いつき追い越そうとしており、彼らは高度な戦争遂行能力を獲得しつつある。もし、それらの国々の一部が豪州の敵対者となれば、それは大きな軍事的脅威となり得る。

 そのような中において、米国の軍事技術は他の競合相手を圧倒している。豪州が安全保障を維持できるのは、米国との同盟を通じて、このような軍事技術にアクセスする特権を有しているからなのである。

 例えば、豪空軍の戦力は、すべてアメリカ製の防衛技術から成り立っている。旧型のF-18、新型のF-18スーパーホーネット、EA-18グロウラー(電子戦機)、そして今後購入する第5世代機のF-35、これらはすべてアメリカ製である。

 また、超水平線レーダーと戦闘機を支援するAWACS(早期警戒管制機)は、すべて米軍の情報監視能力と統合されている。この統合化によって、豪軍の能力は4~5倍効率化されている。


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