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2014年9月30日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 興味深いのはこの際に党の宣伝や組織工作を統括する劉雲山・党中央常務委員が説明しに中央組織部の趙楽際部長を連れて駆け付けたことだ。在米専門家の程暁農氏によると、袁書記に問題があるなら本来、劉常務委員に責任があるが、彼の責任が問われるどころか、人事説明に駆け付けた事は習近平が江沢民一派の劉に妥協しなければならない事を示唆しているという。地方幹部選抜に中央組織部が関わっている事を考えれば、劉雲山や、それ以前に部長を歴任した曽慶紅(元国家副主席)、賀国強(元常務委員、既に退職)や李源潮(現国家副主席)といった指導者の責任も問われかねず、棚上げしたという見方もできよう。山西省での汚職取締りでメディアが一番注目する李小鵬省長についての言及はない。

 また、李源朝副主席と李鵬元首相の確執も噂される。李源朝副主席が組織部部長の時に李鵬元首相の息子、李小鵬(現、山西省省長)氏の昇進を拒んだことを快く思わない李元首相が李源朝副主席の昇格に反対しているというのだ。真偽は不明だが、組織部は中央に限らず地方でも人事を左右する権力を持つがゆえ指導者たちは自分の親戚や子分を昇進させたいと虎視眈々だ。その点からいえば、各省における組織部トップ人事が既に総入れ替え状態になっているのは共産党第4回全体会議(4中全会)を前に興味深い。今後の権力闘争の動向にせよ、改革の行方を占うにせよ幹部人事が重要ファクターであることは疑いの余地はない。

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