2022年9月28日(水)

対談

2014年10月7日

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木下:「いや、繊維でもこの領域ならば勝負できる」と思っている人たちは、見ているものが違う。世界観がまるで違うんです。いい意味で遊んできて、世界の状況を見てきて、人とのつながりもある。「ここの空間はあいつにやらせたい」といったセンスがすごくいいんですよね。これを真面目な人がやると「まずは地元の工務店に発注して」となるから、同じかそれ以上にお金はかかっているのにがっかりするような空間になってしまったりするんです。

 僕らの分野でいえば、海外ではシティマネージャーやディストリクト・マネージャーなどの分野で活躍している人は、いい意味で遊んでいる人ばかりです。確実に広い世界観を持ち、まちに出て様々な経験をしているからこそ、魅力のあるまちを形成できるのです。

飯田:遊び慣れた名士の何代目かが、まだ残っているうちになんとかしよう、という身も蓋もない結論になりそうですね(笑)。

木下:かなり瀬戸際ですよね。彼らは薄情なのではなくて、地元のために何かをしたいと思っているんだけど、このご時世いつでも東京に行けちゃうし、正直何をすればいいのかもよくわからないのだと思います。そういうご相談を色々と受けることがあります。

飯田:手を挙げて何かやろうとすると叩かれかねませんしね。

木下:地元にある資産や資源を活かして、地元に利益を返還していくような事業をやるためには、いい意味での余裕が必要です。ゆでガエルになってしまってからでは遅い。会議室に詰めて顔つき合わせて「これからは何が来るんだ?」とかやっていても、結末は見えてしまう。

飯田:「××市の成功事例に学びましょう」になってしまう。

木下:そうなんです。じゃあみんなで視察に行きましょう、となって、結局はパクって終わり。それでは何にもなりません。

飯田:イベントを開いて、1万人集まったから成功だ! ではないんですですよね。

木下:そうそう、それで2年後に「予算がなくなったので中止となりました」となってしまう。そして「次はあの街のあれをやってみましょう」となるんですが、それはもう全然ダメなんですよ。面白くも、かっこよくもない。

 地方で面白いことをやっている人は、世界観のレイヤーがまったく違う。街を助けつつ、街に頼らないというやり方ができる。「この分はお代をいただかないと」というレベルの人だと、なかなか面白くならない。「いいよ、そこは別にウチでもつから」みたいに、度を越したことを平気でできちゃう人は、やっぱり面白いことをやりますよね。

木下斉(きのした・ひとし)
1982年生まれ。一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事、内閣官房地域活性化伝道師、熊本城東マネジメント株式会社代表取締役、一 般社団法人公民連携事業機構理事。高校時代に全国商店街の共同出資会社である商店街ネットワークを設立、社長に就任し、地域活性化に繋がる各種事業開発、 関連省庁・企業と連携した各種研究事業を立ち上げる。以降、地方都市中心部における地区経営プログラムを全国展開させる。2009年に一般社団法人エリ ア・イノベーション・アライアンス設立。著書に『まちづくりの経営力養成講座』(学陽書房)、『まちづくりデッドライン』(共著、日経BP社)など。

飯田泰之(いいだ・やすゆき)
1975年東京生まれ。エコノミスト、明治大学准教授、シノドスマネージング・ディレクター、財務省財務総合政策研究所上席客員研究員。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。著書に『経済は損得で理解しろ!』(エンターブレイン)、『ゼミナール 経済政策入門』(共著、日本経済新聞社)、『歴史が教えるマネーの理論』(ダイヤモンド社)、『ダメな議論』(ちくま新書)、『ゼロから学ぶ経済政策』(角川Oneテーマ21)、『脱貧困の経済学』(共著、ちくま文庫)など多数。

  

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