2022年9月28日(水)

対談

2014年10月7日

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飯田:田中角栄はその手の嗅覚がすごかった人で、「30万人以上いないと都市は自立できない」と、30万人都市の創造を唱えていたんですよね。たぶん当て勘で言っていたはずなのに、その正確さは何なんだ、と(笑)。

木下:「30万人で集まる」という指針があれば、都市の戦略としてもわかりやすい。でもそういうことは言われていないですよね。

飯田:「市町村合併をしてDID地域を増やそう」というのは、存続の危機にある多くの地域を見捨てることでもありますので、政治家が口に出すのはなかなか難しいでしょう。

木下:人口減少がはっきり目に見える状況では、なおさら当たりのきつい言葉ですよね。

飯田:倫理学のテキストに必ず出てくる話が救命艇状況という例話です。「漂流したボートで4人全員が病気になり、特効薬が2人分しかなかったらどうするのか」という問題。これを突きつけられているのが現在の地方都市なのだと思います。4等分して全員飲みましょう、という選択では誰も助からない。

木下:なるべく体力のある奴に飲ませて、頑張ってボートを陸地まで漕いでもらって、なんとか全員が助かる望みを残すという選択になりますよね。でも現実は、ボートの上で揉めに揉めている。

飯田:揉めるくらいなら、この2粒とも海に捨ててしまおう、となりかねないですが。

木下:「こんなものがあるからいけないんだ!」となりそうですよね(笑)。

飯田:まさに救命艇状況なのだと思います。まずは体力のある地域に特効薬を飲んでもらって、次のことはそのあとで考えようという選択肢しかないんじゃないでしょうか。

 修繕積立金の問題はありますが(笑)、高層住宅が技術的に可能になって、東京や各県庁所在地の中心地に集住しやすくなっています。そこは仕事も豊富で、遊びもある。衰退する地域が揉めている間に、そこに住む理由がどんどんなくなっていってしまう。集約化でなんとか30万人を確保して自立規模を維持していれば、域内でユニークな産業が成立する可能性も高くなります。

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