2022年10月6日(木)

対談

2014年10月7日

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「オワコン」で復活したイタリア

飯田:産業集積で全面的に復活したのが、消え行く地方だと思われていたイタリアです。しかも、とっくに終わっていると思われていた繊維産業で復活しているんです。イタリアには優れたデザイナーが多いことと、老舗と呼ばれる生地屋がたくさん残っていたことが大きかったんです。

 繊維産業の集積が起こったのは1970~80年代で、当時のヨーロッパでは生産拠点が中国か、自由化された東欧諸国にどんどん移転していて、イタリアでもかなりの繊維メーカーが淘汰されました。そのときにデザイン性と、一部の超高級品を維持しつつ、自国内での集積を進めたんです。主たるラインはパリの高級服よりももう少し普段使いに近いもので、そういうファッションのことならコモ(ロンバルディア州)やプラート(トスカーナ州)のような集積地に行かないと話にならない、という状況を作り上げたんです。

 おかげで現在のイタリアの主要産業は食品加工と繊維、そして自動車です。トップ2つがものすごく19世紀的な産業なんですよね(笑)。

木下:食品加工と繊維っていわば「終わっている産業」の代表格ですよね。

飯田:しかもそれが先進国で起こったのが驚きです。その勢いもあってか自動車も調子が良くなって、アメリカのクライスラー再生にあたってはフィアットが20%株主になりました。

木下:そういう復活もありうるんですね。

飯田:「次世代型産業の育成」が必要だと言う人は多いですが、ヒットする次世代型産業なんて誰にもわかりはしません。イタリア政府が70~80年代に「これからは繊維と食品加工だ!」なんて言っていたら、世界から大笑いされていたと思いますよ。

木下:「いよいよ追い詰められておかしくなって……」という(笑)。

飯田:ところがその2つで復活してしまった。

木下:旧来型産業を真剣に見つめなおしたほうが、労働分配もしやすいかも知れませんね。

飯田:これは地方活性化のヒントになるかも知れませんが、超高級服の生地などは「この村でしか作っていない」というブランディングを進めたんです。ワインが村や畑単位で格付けされるのと同じですね。

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