2022年10月6日(木)

対談

2014年10月7日

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木下:つまり「超特殊なモノ」を売るんですね。

飯田:そうなんです。世界全体でも顧客は1万人といないんじゃないかという生地でも、数千人の村の人が十分食べていける。そういう「新しい集中」をやったわけです。それにより相手にするマーケットは「世界」になった。

 食品加工にしたところで、基本的には原材料は輸入ですが、加工品を出荷する先はほぼ海外で、かつ高価です。「メイド・イン・イタリー」と表示するためだけに、そんな方法が採られている。ちなみにイタリアは世界有数の小麦輸入国です。

木下:なるほど、それでパスタに加工する。そりゃあそうですよね、あんなに膨大な量のパスタになる小麦を、全部イタリア国内で作れるはずがない。

飯田:ここ20年でイタリアの小麦輸入量は増えていますが、国内生産量は減るどころか増加しているくらいです。だんだんメイド・イン・イタリーだけでは差別化できなくなっているので、「エミリオ・ロマーニャ州△△産ビオ小麦」などといった差別化が図られているんですね。

木下:なるほど!

飯田:「△△産でないと高級レストランとしてはちょっと恥ずかしい」などと思わせることができれば勝ちですよね。魚沼産コシヒカリみたいなものですが、海外からも「ウオヌマに限る」言ってもらえるようになれば、全然違う状況になるはずなんですが。

木下:そういう打ち出しを考えるべきですよね。

飯田:何も世界展開までにはならないとしても、たとえば県内の人が一泊旅行や、日帰りで行くならここしかないよね、と口を揃えるような場所になることができれば、活路はあるんだと思います。さらにそれが東北地方ならここに限る、近畿地方ならここ、中国地方ならここ、となればいいわけですし、さらに「日本でもここしかない」になれば商圏はすごく広い。商圏が広ければ多少ニッチに尖っていても、一定数のニーズはありますから。どんなにヘンな商材でも、1万人に1人が受け入れてくれればビジネスとして成立する。

木下:あらゆる分野にマニアはいますからね。趣味嗜好は細分化しているし、そのマーケットに訴えるためには、あらゆる趣味嗜好を体感している人がいないといけないんですよね。しかも絞り込むからこそ市場を世界に広げられる可能性がある。

 イタリアで食品加工をしている会社の社長さんも、世界中のうまいモノを食べているだろうし、遊んでいるはずです。地方で面白いプロジェクトをやっているのは、国内外問わずにどこにでも行き、よく遊んでいる人たちです。いろいろなモノを体感した上で、自分の地元で勝負できるものはなにかと考えられるし、しっかりと見極められる。食にも投資しない、遊びにも投資しないで、毎日職場と家の往復をしているような人には、それはかなり難しい。そういう真面目さは大事ですけど、そこから新しいものは生まれない。誰かが「これからは繊維だ!」と言ったときに、「そんなのは無理だ!」と言う側に回ってしまう真面目さなんです。

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