それでは、もはや私たちの生活とは無関係に感じる、「月」の影響はどうでしょうか?
出産は月よりも太陽との関係が深い
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インターネット上では、月の満ち欠けと出産について、「満月の夜にはお産が多くなる」など、様々な情報等が飛び交っていますが、事実はどうなっているでしょうか。生命は、海で誕生し、進化の過程で陸上に進出してきました。その途中の浜辺の生物では、月の満ち欠けや潮の干満に呼応して受精・産卵するものもあります。したがって、「人」の出産と月の満ち欠けに関連性があっても不思議ではありません。
【図3】は、1998年から2012年までに助産所で生まれた全ての赤ちゃんを、月齢ごとに分けて平均値で表したグラフです。月齢0が新月、月齢15が満月になります。助産所で生まれる赤ちゃんは、1日あたりの平均は30人弱ですが、【図2】の太陽との関係のグラフと比べると、月との関係はほとんど無いというのが事実です。
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しかし、ほんのわずかですが、不思議なリズムを感じることはできます。【図4】は、【図3】のわずかな変動を拡大したものです。これを見ると、何らかの周期がありそうだし、複数の周波数の波が重なっている可能性も感じます。
さらにこのデータをいろいろと解析する中で、一つ、興味深いグラフを作ることができました。それが【図5】です。この図は、新月から満月までの期間が約15日であることから、それぞれの月齢の日を中心に前後1週間、すなわちその日を中心にした前後計15日間の平均値をとり、その結果の数値を月齢2日分ごとに平均してみたものです。そうすると、結果として、【図2】と同じようなリズムを見いだすことができました。
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現在、1984年から2013年までの30年分のデータを元に、よりきちんとした統計の方法を用いてさまざまな分析をしているところですが、いずれにせよ、月齢との関連については【図3】が元データであり、今のところ、「満月の日にはお産が多い」と言い切れるほどの明確なリズムは浮かび上がっていません。
インターネット上などでは、医療関係者の経験談として、満月の前後に多い、というようなものも記述されていますが、お産というのは本当に神秘的なものであるだけに、おそらく、何らかの心理的なバイアスがかかっているのかもしれません。