10月17日、読売新聞は『「地方創生のための提言」、全国知事会が提出』と報じ、共同通信も『知事会「5兆円の創生枠確保を」 石破氏に提言』と報じました。これからの日本を考えるうえで地方創生はきわめて重要な課題といえます。しかし、その解決策は一筋縄ではいかないようです。ここでは、地方創生を進めるうえでヒントとなる記事を紹介します。
はじめに、木下斉さんと飯田泰之さんの「地域活性化の現実を見よ」と題した対談(全4回)をご覧ください。
交通網の発達で人もお金も地方から大都市へ
交通網の発達により、人とお金が地方から大都市に吸い寄せられてしまう「ストロー現象」。近年の典型例は東北新幹線で、割を食うかたちになったのが盛岡と仙台。地方の富裕層が東京に出て消費してしまう。これは地元経済にとって非常に深刻な問題だ。
B級グルメやゆるキャラに未来はない
地方が生き残る道は大きさでも総合力でもない。地方活性化で必要なのは、針の穴ほどの狭いところに通すような思い切った「絞り込み」ができるかどうか。
維持費と借金が地方を苦しめる
借金で建ててしまえば、そのあとは借金の金利と維持費を払い続けることになる。建造時のイニシャルコストよりも、維持していくランニングコストのほうが高くなることを意識しないといけない。
地域活性化に役立つ人材とは
地方で面白いプロジェクトをやっているのは、国内外問わずどこでも行き、よく遊んでいる人たち。いろいろなモノを体感しているからこそ、自分の地元で勝負できるものはなにかと考えられるし、しっかりと見極められる。毎日職場と家の往復をしているような人にはかなり難しい。
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「よそと違うこと」をするためには、その土地が持つ「強み」を見つける必要があります。その時に、いわゆる「よそ者」の視点が役立つことがあるようです。次にご紹介するのは、県外出身の民間人副市長を起用した「兵庫県養父市」の例です。
地元の宝を世界に売り出す
「よそ者」副市長の挑戦
副市長の三野さんが注目しているのが朝倉山椒だ。山椒は香辛料として世界的にもブームになりつつある。山椒農家から高めの値段で買い取って乾燥加工し、世界に向けて輸出することを考えている。街おこしには「よそ者、若者、馬鹿者」の視点が不可欠だと言われる。地元に長年暮らした人にとってはごくごく当たり前のことが、よそ者には感動を与えることがある。
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また、地方創生にとって重大な壁といえる「人口減少」はどうでしょう。10月18日にANN newsは『人口減少「改善すべき」75%強 内閣府調査』と報じています。この問題について、原田泰さんは次のような提言をしています。
地方創生で何をするのか
人口維持発想からの転換を
人が多いことが豊かなのだろうか。人が多いから貧しくなったと考えることはできないだろうか。人口が減って一人当たりの森林面積が大きくなれば、木材を切り出しながら苗木を植えて、大きくなるのを待つ。集魚灯を照らしながら一挙に漁をしようとしないで、少ない漁民がゆったりと漁をする。一人で広大な耕地を耕す。そうすれば、豊かに暮らせるのではないか。
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出口をどこに見据えるか、これは地方創生に限らず、日本の将来を考えるうえでとても大事な視点だと思います。WEDGE Infinityではこれからも、地方創生の問題について掘り下げていきたいと思います。
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