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2014年10月22日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 HKND社とニカラグア政府はこうした抗議をことのほか重視し、説得を試み宣伝に力を入れているという。プロジェクトの監督管理委員会によれば、農地を収用される農民が理に適った賠償が受けられることになっているから反発の必要はないというわけだ。ただプロジェクトは現時点で土地収用にまでは至っておらず、現場調査が行われているにすぎないという。

 HKND社は既に5年間の運河造成期間に5万人以上を雇用することを認めている。運河が開通すれば人口600万の同国に20万人分以上の就職先がもたらされることが見込まれるという。

パナマ運河よりかなり大規模な運河に?

 ではこの「第二のパナマ運河」と中国が期待を寄せる運河建設はどのようなプロジェクトで誰がイニシアチブをとっているのか。「中国企業がニカラグア運河予算に500億ドル拠出し“第二のパナマ運河”建設」という澎湃新聞網の記事(9月13日)によると、HKND社が会見(9月11日)を行い、新運河建設にかかる費用は前出のように500億ドルに達する見込みでもともとの予定より100億ドル高くなったことを明らかにした。

 同社は既に7月に水路や工程の概要を公表しているが、これによると運河の全長は278キロに及び、パナマ運河の3倍を超える。また途中には2つの堰が設けられる見込みだという。また構想には2つの港湾、1つの飛行場、自由貿易区、金融区、保税加工区、都市生活区域、総合観光景観区等の建設も計画されているという。

 同社が公表した工程表によれば、現時点では計画地域の土地収用予定地について宣伝や調査が始められたにすぎないが、今年の12月に着手して5年で完成させる計画という。

 図で示した通り、パナマ運河と比べてもニカラグアで建設予定の運河は全長距離で3倍以上、船舶航行用の堰での幅も倍近く、深さも10メートル以上深い28メートルに及び、通航船舶の可能最大積載量も40万トンと大きなものだ。

 プロジェクトのブループリントを描くのは王靖という信威通信という会社の社長だ。HKND社を設立して董事長にも就任した。HKND社は既に昨年6月にニカラグア政府と運河建設や運営に関する調印を行っており、契約では経営権は50年継続されることになっており、その後50年の延長もあるかもしれないという。ニカラグア議会が6月に運河建設を審議した際には賛成が61票、反対25票と賛成多数で可決した。

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