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2014年10月22日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 王靖氏によると中国はベネズエラから石油、ブラジルから鉄鉱石、そして中南米各地から大豆を輸入しており、将来的には輸送路としてニカラグア運河を通る事が見込まれるという。HKND社は将来的に二つの運河を通行する貨物扱い額は年間1兆4000億ドルに達し、世界で最も輸送量の多い航路になると皮算用している。

 信威通信は既にカンボジアでの携帯通信事業(4G通信)へのライセンスを獲得しており、同国全土での携帯電話通信事業に乗り出すなど国際事業に積極的であるが、弱冠40歳の若い企業経営者がこのような野心的な大規模プロジェクトに乗り出すことに対して米国はもちろん、中国国内からも彼の人的資格に疑問が呈されている。特にこうした大型のインフラ建設プロジェクトには常々、軍の存在が示唆されることが多く、この運河建設プロジェクトでも同様に背後に軍の存在があるのではという憶測を呼んでいる。中国海軍は近年、世界各地への遠洋航海を行い、各地の港に「友好寄港」を行って軍事外交を活発化させており、軍事プレゼンスを示そうという意図が見え隠れする。

 パナマ運河にも海軍の病院船「平和の箱舟」号が横断航海を仰々しく行ったのは2011年10月のことだ。ただ王靖氏はインタビューで政府や共産党、軍とのいかなる関係も否定している。そして彼は党員でさえないと答えている。彼の背後に政府や軍の存在があるかは不明だが、ニカラグア運河の建設が単なるビジネス勘定によるだけでなく、地政学的観点に基づいた外交戦略が見え隠れするのは不気味である。

  
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