米ミシガン州デトロイトで、今年9月7日から開催された、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)世界会議でも、世界各国の自動車メーカーが集うなかで、話題の主役になったのは自動運転技術だ。
米ゼネラルモーターズのメアリー・バーラCEOは開会式でのスピーチにおいて、高速道路上での速度調整とハンドル操作を行う半自動運転技術である「Super Cruise」を、17年に販売する新型「キャデラック」モデルに搭載すると発表した。
日本勢でも、トヨタ自動車、ホンダ、デンソー等が自動運転車のデモンストレーションを行うなど、各メーカーが競って持ち前の自動運転技術を披露した。
現地を訪れた、三菱総合研究所主席研究員の杉浦孝明氏は「今年のITS世界会議は、自動運転のデモンストレーションの数も多く、過去数年と比べても、非常に濃い内容だった」と語る。
自動運転につながる技術として、「安全運転支援技術」も商品化が進んでいる。近年では、富士重工業の衝突回避システム「アイサイト」が脚光を浴びた。10月には、ホンダが、道路脇の歩行者への衝突を回避する技術を世界で初めて開発するなど、自動車各社は、「安全運転支援技術」を続々と開発、搭載。販売戦略に不可欠となっている。
日本自動車研究所でITS研究に携わる谷川浩氏は、「昔は安全装備に対する購入意欲は低いと思っていたが、今では先進的な安全運転支援技術が搭載されているかどうかが、購買意欲を大きく左右するケースが増えている。 かつてABSやエアバッグが受容され、普及したときに似た流れを感じている」と語る。
チャンスを活かす新企業
主導権を握るのは誰だ
「地図情報」や「情報処理」、「クラウド」は、自動車各社にとって得意分野ではない。内閣府は、「地図」については日本自前で、高度な地図情報を作成しようと、企業に協調を促し、地図情報の高度化技術(グローバルダイナミックマップ)の開発を進めている。各企業が個々に作成を進めても“共食い”になるから官民一体で推進しよう、という発想だ。
「計算能力」や「クラウド」は、グーグル、アマゾン、フェイスブックといった、世界に100万台規模のデータセンターを持つ巨人たちがすでに存在する。日本企業の存在感はない。