アイサンテクノロジー(名古屋市中区)は、地図測量についてのアプリケーションの開発、販売を行っている企業だ。自動運転車に予め持たせておく、高度な地図情報の作成を担う。柳澤哲二社長は、「自動運転は、どんな方式であっても高度な地図情報を使用する。我々のような測量会社が培ってきたものが活かせるはずだ」と自信を覗かせる。
自動車以外の産業からの参入は、今後さらに強まっていくだろう。これらのプレーヤーから、現状では自動車業界の協力を得る必要があるためか、過激な未来を予想する声は聞こえてこないが、自動車以外の産業から、産業構造を変えるような新たな価値が創造されても決しておかしくはない。
「レーンキープサポートシステム」など、世界初の安全運転支援技術を次々発表してきた日産自動車で、技術開発の指揮をとる総合研究所の土井三浩所長も、「ビジネスとして当社が積み上げて来たものに自信はある。しかし、米電気自動車メーカーのテスラモーターズなど、新たに現れた企業も、技術的には十分脅威だ」と語る。
10年前まで夢に過ぎないと思われていた完全自動運転が、実現するかどうか、議論の起こる段階まで技術が進化してきたことは間違いない。
自動車の覇権を握るのは、自動車メーカーか、IT企業か、はたまた新たなプレーヤーか。今後5年、10年で、具体的に描かれる自動運転の姿で、自動車がIoT(Internet of Things)となるかどうかが見えてくるだろう。(後篇に続く)
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