2点目は、「政策テーマの幅広さ」だ。今年の流行語大賞にも選ばれた「集団的自衛権」や「消費増税」などの大きなテーマはもちろん、「女性の就労支援」「家族のかたち」といった身近なテーマも盛り込まれている。いくら政治に無関心といっても、子育て世帯であれば男女問わず産休・育休や保育所の問題にアンテナを張っている人は多いだろうし、DINKSなど多様な家族形態についても巷ではよく議論されている。日常生活と政治は決して無縁ではないことを意識させる仕立てになっているように思う。
最後は、これら候補者の個別意見を「政党平均値としてまとめ、同様にグラフ化」していることだ。政党に対するイメージはどうしても主要政策に引っ張られてしまう感があるが、テーマ別に各党の考え方を比較してみると意外な発見もある。例えば、安倍政権の重要テーマである「憲法改正」「防衛力強化」については、共産党・社民党を除くすべての主要政党が賛成寄りのゾーンにいる。また逆の見方をすると、所属政党の平均的な考え方とは路線が大きく異なる主張の候補者もいる。有権者としては、所属にとらわれ過ぎずに候補者本人の話を慎重に聞く必要があるということだろう。
20代の投票率は極端に低いが……
「政治を考える場」はあるのか
選挙期間に入り、マスメディアでもネットでも、若者に対して投票を呼び掛ける記事が多く見られるようになった。高齢社会のシルバー民主主義ともいわれる状況に警鐘を鳴らす内容だ。「投票所に行かなければ、若者の声が反映されない……」「これからの日本を担う若者世代の声を届けなければいけない……」。もっと政治に興味を持とうと訴える内容が多いのだが、「何に対して」「どうやって」興味を持てばよいのか、肝心なところが今一つ伝わってこないように思う。
そもそもなぜ、若者の選挙離れが起きているのか。過去の衆院選における実際の投票率を確認してみたい。
公益財団法人 明るい選挙推進協会 「年代別投票率の推移」
http://www.akaruisenkyo.or.jp/070various/071syugi/693/
前回、安倍自民党が大勝し政権復帰を果たした平成24(2012)年の衆院選では、20代の投票率は37.89パーセント。60代の投票率74.93パーセントと比べると約半分だ。この状況では、確かに20代の若者の声は国政にほとんど届いていないと言われても仕方がない。ちなみに現在60代の方々が「20代だった頃」の昭和47(1972)年を見ると、20代の投票率は61.89パーセントとなっている。40年前と比較した方が、より深刻に思えてくる。