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2015年1月6日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

『中国能源報』ネット版『能源網』 (2014年11月28日)記事 http://www.cnenergy.org/dujia/201411/t20141128_335605.html

 藏木水力発電所のダムの高さは116メートル、貯水量は8660万立方メートル。年間発電量は25億kWh(黒部第4ダムは年間10億kWh、黒部川全体で30億kWh)見込まれ、発電量世界一の三峡ダムの高さ185メール、393億立方メートルの総容量、2240万キロワットと比べかなり小さく、日本一の黒部ダムと比べても小型だ。

 昨年10月末までのチベット自治区の発電量は148万キロワットで6つの発電機が稼働すれば目下の発電量の34.46%相当になるという。チベット自治区の人口は300万人に過ぎないから、発電された電気はほとんどが別の省に送られる予定だ。2013年の統計データではチベットの一人当たりの電気使用量は全国平均の半分以下だったから、発電所完成で冬の電力不足解消に寄与すると期待される。

 党中央におけるチベット政策を討議する場にチベット工作座談会がある。この5回会議(2010年1月)でチャムドに「西の電気を東に送る(西電東送)」拠点を設立することを決定した。発電所が位置するチャムドはチベットの7つの地区(地区級市レベル)の中で最も水エネルギー資源が豊富であり、怒江、瀾滄江、金沙江の3つの河川が交わる地区である。地理的には四川省、雲南省、青海省との境界でもあり、「西電東送」プロジェクト推進の拠点構築は地政学的にも理に適っているという。

生態系破壊の懸念に「責任ある態度で下流に配慮」

プラマプトラ川の生態系についての報告書 https://s3.amazonaws.com/cd.live/uploads/content/file_ch/6797/brahmaputra-v13.pdf

 中国外交部の華春莹報道官は11月24日、国境を超える河川利用について中国は一貫して「責任ある態度」を維持しており、下流地域の影響に充分配慮し、計画中の発電所が下流地域の洪水防止や生態系への影響を与えることはないと述べた。またこれまでも中印両国では友好と人道主義の精神からインド側に河川の危機管理の協力は有効でチャンネルが確保されているという。中印両国は2013年に「国境を超える河流協力を強化することに関するメモランダム」に署名して以来、専門家による協議メカニズムを通じて意思疎通を図ってきた。習主席による2014年9月の訪印の際には共同声明でインド側が中国に対して洪水期の情報や緊急措置協力の提供に謝意を示した。

 発電所を運営する華能集団は公式サイトで環境に配慮し、生態系保全のため3億2000万元を投資して魚の通路となる魚道や養殖所、太陽光発電システム、汚水処理場、ごみ回収所を設置したと明らかにした。華能藏木水電分公司の李小聯総経理は「環境保護がチベットのプロジェクトのボトムライン」と発言。同発電所はチベット地域やそれに止まらず、環境保全に配慮した全国の水力発電工程の模範になるよう目指すと述べる。


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