愛の葉ガールズのリーダーである紙崎聖(きよら)さん(19)は「愛媛の農産物のおいしさを知ってもらい、美味しかったよと声をかけられるのがうれしい」と言う。もともと農業に関心があったわけではないが、農作業などを通じて農業の面白さにも気が付いたという。
hプロジェクトを立ち上げた佐々木貴浩社長(46)は、20年にわたってレストランやバーなど飲食店に関わってきた。愛媛県産の農産物の美味しさは熟知していたが、一方でどんどん廃れていく地元の農業にいたたまれなさを感じていた。そんな経験から、アイドルによって農業を売り出すことを思いついたのだ。
佐々木社長がアイドル・グループに農産物の宣伝だけでなく、農作業もさせようと考えたのには別の狙いがあった。「若い人たちに農業に興味を持ってもらうきっかけになると考えた」。トラクターに乗ったり、鋤や鍬を手にするアイドルたちの姿に、ファンの若者たちが触れることで、彼らが農業を見直すきっかけになるというのだ。
「良い農産物を作るには、それを作る若い人を育てなければ始まらない」と佐々木社長は言う。実は社名の「h」はヒューマンのh、人だ。農業法人として「人」を育てることを主軸に考えているのだ。
だが最近困ったことが起きている。
12年末にデビューした「愛の葉ガールズ」の人気が急速に高まり、東京など遠隔地での公演などが入るようになったのだ。アイドルたちが、なかなか農作業に時間が割けなくなってきたのである。愛の葉ガールズはもちろん学生。公演の本番も農作業も、基本的には土日が中心だ。平日の放課後は歌やダンスのレッスンが待っている。最近では週末は公演で埋まることが圧倒的に増えた。もちろん、公演のスケジュールに関係なく農作物は育っていく。