2022年8月18日(木)

オトナの教養 週末の一冊

2015年1月23日

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中村宏之 (なかむら・ひろゆき)

ジャーナリスト

1967年生まれ。91年、慶應義塾大学経済学部卒、読売新聞東京本社入社。ロンドン特派員、米ハーバード大学国際問題研究所研究員、経済部デスク、調査研究本部主任研究員などを経て2017年4月より読売新聞東京本社メディア局編集部次長。『御社の寿命』、『世界を切り拓くビジネス・ローヤー』、(いずれも中央公論新社)など

改革に乗り出した事例も

 ただ、地方議会をとりまく状況が厳しくなっているという実情も本書で知ることができた。報酬を一つとってみても、東京都議会のように大手企業の役員並みの高額報酬を得ている議員がいる一方、大卒初任給の平均に満たない自治体もある。ただ、改革を訴えて、報酬を減額したり、日当制を導入したりする取り組みを行っても、報酬が低いと地方議員の「なり手」がいないというジレンマもある。

 「なり手」という点では、本書は、(1)立候補が定員に達せず、無投票当選が続出する、(2)投票率が極端に低くなる傾向に歯止めがかからない、(3)選挙になっても落選者がごく一部に限られ、開票前から結果がわかる「少数凡戦」が状態化する――、といった問題点を指摘する。これでは地方議会は活性化せず、議員の顔ぶれが長期にわたって固定化することで新規参入も困難になり、新陳代謝が進まない。

 ただ地方議会でも福島県の会津若松市議会や、京都府の亀岡市議会など、議会側が首長や行政を監視するという本来の機能を発揮したり、議員同士が切磋琢磨して議会運営を活性化させたりする改革に乗り出している事例などについても、著者の広範な取材で盛り込まれている。

 いま第3次安倍内閣では「地方創生」を進めるべく様々な取り組みを行っている。国が旗を振るものの、主役はそれぞれの地方であることはいうまでもない。地方創生を担う自治体、特に地方議会の重要性はこれまで以上に増し、それにともなって責任も重くなってくる。同時に住民自身も自らが住む地域に関心を持ち、有権者として適切な判断を下す必要がある。本書はそうした「気付き」を与え、私たち一人一人に「当事者」であることを強く意識させてくれる。

  
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