2024年12月23日(月)

田部康喜のTV読本

2015年2月11日

 世界各地のシアターのオーディションに落ち続けている、慶は港湾荷役のアルバイトなどをしながら夢を追いかけている。

 校舎の渡り廊下に立つ結唯が、一瞬の風にあおられて化学教師の白衣の裾が開いて、紺色のギャザースカートが夕陽に浮かび上がる。

 就職氷河期の経験者である結唯は、いくつもの企業の入社試験を落ちて、最後に受かったのが県立高校の教職であった。

 独身のままに30歳を超えて、これからの人生の目標が見いだせない。

 その空白感を埋めようとするように、同僚の国語教師・高柳太郎(生瀬勝久)と不倫関係を続けている。

 慶と結唯が重なり合うようにして、たどりついた慶の部屋には洗濯物がつるされている。電気ストーブのスイッチを入れて、結唯の服を脱がそうとする慶。

 「自分で脱ぐから」

 慶が抱き起そうとして、結唯の美しい背中が画面にあふれる。

 そして「つづく」である。

京都の名所、旧跡の解説も楽しめる

 今クールのドラマは、深夜ドラマに夢中である。

 ビヨンセの一発芸で芸能界に出た、渡辺直美は日本テレビ系の「五つ星ツーリスト」(木曜日よる11時59分)で、いまは庶務部門に異動させられているが、かつてはトラベルマスターと呼ばれていた、旅行プランナー・高瀬京香を演じている。

 ドラマの舞台は、京都にあるサンセットツアーズ・西日本本社。新入社員の佐竹一郎(山本裕典)が、上司の宮田正(星田英利)から押し付けられる難しい顧客の案件を、庶務部門の中央管理センターの高瀬(渡辺)と、元ツアーガイドの沢村紅葉(高月彩良)、元敏腕営業マンでいまでは契約ドライバーの川端哲男(寺島進)らが、協力して最高の旅を作る、という物語である。

 高瀬が組んだツアーに登場する、京都の神社・仏閣は本物のロケで、その解説もまた楽しめる。一般的な観光ルートにはのっていない名所、旧跡である。


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